八尾市の塗装職人、池本塗装が教える知っておきたい屋根修理の豆知識

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ラジカル制御型塗料ってどんな塗料?特徴やメリットやデメリットについて解説!

外壁塗装において多く使われている塗料として、シリコン塗料と双璧を成すのがラジカル制御型塗料です。
このラジカル制御の技術は、近年塗料メーカーが新しい塗料の開発を進める上でも非常に注目されている技術です
しかし、一般の方からすれば、「そもそもラジカルって何?」と思われる方も多いと思います。
ここでは、ラジカル制御型塗料とシリコン塗料との違いや、ラジカル制御型塗料メリット・デメリットについてご紹介します。

ラジカル制御型塗料ってどんな塗料?特徴やメリットやデメリットについて解説!

そもそもラジカル制御型塗料ってどんな塗料なの?

ラジカルとは簡単に言えば、「塗料に含まれる成分(樹脂や顔料など)を劣化させる物質」です。
このラジカルは、塗料に使用されている酸化チタン(白色顔料)に紫外線が当たることで発生し、発生した酸化チタンは樹脂や顔料の劣化を早めてしまうのです。
皆様にとって馴染みが深い劣化症状の一つが「チョーキング現象」です。
外壁を指でなぞった時に指先に白い粉のようなものが付着する場合、劣化した樹脂や顔料が粉状になって外壁表面に浮き出している、ということです。

「じゃあ最初から酸化チタンを使わなければ良いんじゃないの?」と思われるかもしれません。
しかし実は、酸化チタンは白系やクリーム系、ベージュ系の塗料を製造するために必要な素材です。
そのため、「白系の塗料を作るためには、塗料を劣化させる酸化チタンを使わないといけない」、というジレンマがあった訳です。

このジレンマを解決するために開発されたのが、「ラジカル制御酸化チタン」と「光安定剤」を採用したラジカル制御型塗料です。
「ラジカル制御型酸化チタン」は、ラジカルを閉じ込めるためのバリア層を持った特殊な酸化チタンです。
この性質があるため、もしラジカルの発生が起こってもラジカルを閉じ込めることができ、樹脂や顔料を劣化させません。
また光安定剤は、何らかの原因でラジカルがバリア層から漏れ出した際に、ラジカルを再度閉じ込めるための添加剤の役割があります。
この2つの成分により、シリコン塗料より紫外線に強く、高い耐候性を持つ塗料となっているのです。

▷外壁の「チョーキング現象」とは?原因と対処法を解説

ラジカル制御型塗料のメリット・デメリットについて

それでは、ラジカル制御型塗料にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
順に見ていきましょう。

ラジカル制御型塗料のメリットとは?

ラジカル制御型塗料の一番のメリットは、何と言ってもその高い耐候性でしょう。
紫外線に強く、外壁の劣化症状の一つであるチョーキング現象が起こりにくくなっています。

そして、コストパフォーマンスの高さも魅力の一つです。
コストパフォーマンスが高い塗料としてはシリコン塗料が有名ですが、耐用年数がシリコンは10〜15年に対しラジカル制御型は12〜15年です。
さらに、価格もシリコン塗料より少し高い程度と、非常にコストパフォーマンスが良いです。

また、サイディングをはじめモルタルやコンクリート、木部やアルミなど素材を選ばず使用できるのもラジカル制御型塗料のメリットです。
親水性も高く、汚れが付着しにくいという特徴も持っています。

ラジカル制御型塗料のデメリットとは?

ラジカル制御型塗料は非常にコストパフォーマンスが良い塗料ではありますが、他の塗料と比べるとまだ実績が浅いと言えます。
2012年に日本ペイントが製造を開始しましたが、歴史としてはまだ10年余りです。
そのため、日本での実際の環境下における実績が少なく、北は寒く南は暑い日本においてその土地特有の気候に順応できるのどうか不明なのがデメリットの一つです。

また、歴史が浅い塗料なので、他の塗料と比べると製品の数もまだまだ少なめです。

そして忘れてはならないのが、黒や濃紺など濃い色では「ラジカル制御型酸化チタン」を使用することができないという点です。
上述のように、酸化チタンは白系の顔料です。
そのため、黒や濃紺など濃い色では色の調合ができなくなってしまうのです。
しかし元々濃い色ではラジカルが発生しないので、そこまで気にすべきデメリットではないかもしれません。

ラジカル制御型塗料の価格と耐用年数について

最後に、ラジカル制御型塗料の価格と耐用年数について見ていきましょう。

ラジカル制御型塗料は、耐用年数がおよそ12~15年程度、費用相場は1㎡あたり2,200~3,000円/㎡となっています。
シリコン塗料の費用相場が1,800~2,500円/㎡程度ですので、シリコン塗料よりは若干割高です。
しかし、シリコン塗料より高い耐候性を持っているため塗膜の劣化が起こりにくく、シリコン塗料より高い耐用年数が期待できます。

外壁塗装で塗料を選ぶ際には、価格だけでなく次回の塗り替えも想定して長い目で考えなければなりません。
初期費用を抑えてシリコン塗料を選び、次回の塗り替えスパンを妥協するのか?
初期費用が若干割高になっても塗り替えスパンが長くなる塗料を選び、長期的な外壁のメンテナンス費用と手間を抑えるのか?
まずは塗装業者に外壁・屋根の診断をしてもらい、状態や施主様のご要望に適した塗料を選ぶことが肝心です。

この記事は私が監修しました

池本塗装代表:池本 竜也

池本塗装代表:池本 竜也

塗装職人歴15年、1級塗装技能士・2級施工管理技士取得。一級技能検定にて優秀賞受賞、塗装技能大会にて大阪府知事賞、大阪代表の塗装職人として全国大会出場など。安心した塗装をご提供できるように日々技術を磨いています。

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