「セメント瓦」には塗装が必要?劣化症状や塗装の必要性について
「セメント瓦」という屋根材がありますが、その特性についてご存じでしょうか?
セメント瓦は焼き物の陶器瓦と違って、定期的な塗装メンテナンスが欠かせないものです。
今回の記事ではセメント瓦の特徴と劣化症状、塗装によるメンテナンス方法について詳しく解説します。
ご自宅の屋根材にセメント瓦を使用している方は、ぜひ参考にしてください。
セメント瓦とは?
まずはセメント瓦の特徴と種類について解説します。
セメント瓦には軽量で安価であるというメリットがありますが、塗装によるメンテナンスをせずに放置すると劣化が進行するというデメリットがあるということを知っておきましょう。
セメント瓦の特徴
セメント瓦は、セメントと砂を混ぜ合わせたモルタルを型枠にいれてプレスし、脱水成型したものです。
日本で古来より使用されてきた焼き物である陶器瓦より生産コストが安価で大量生産が可能なため、1970年代の高度経済成長期の住宅需要の急増に合わせて全国に一気に普及しました。
1990年代までは新築住宅で多く使用されてきましたが、近年では同じくセメントを原料とするスレート瓦に置き換えられ、現在ではほとんど製造されていません。
セメント瓦の種類
セメント瓦には、その原材料と製造方法によって「プレスセメント瓦」と「コンクリート瓦(モニエル瓦)」の2種類があります。
プレスセメント瓦は西日本で広く普及しているもので、セメントに砂を混ぜたモルタルを高圧プレスし瓦の形に固めた屋根材です。プレスによって密度が高まるため、比較的強度が高いのが特徴です。
コンクリート瓦はセメントに砂と砂利を混ぜたコンクリートを硬化させて作られる瓦で、和瓦に形状を似せたプレスセメント瓦と違って平面形状のものが多いのが特徴です。
コンクリート瓦の中でも日本モニエル株式会社がヨーロッパから輸入販売していたものを「モニエル瓦」と言い、洋風の外観が人気を呼び、一時広く普及しました。
セメント瓦のメリット
セメント瓦は焼き物の陶器瓦と比べると軽量で安価であることが一番のメリットです。
それでいて原料のモルタル・コンクリートは不燃材であるため耐火性が高く、住宅密集地で延焼を防ぐことも期待できます。
また、セメント瓦は定期的に塗装メンテナンスをすれば30〜40年の耐久性があるとされており、これはスレート瓦や金属屋根の耐用年数とされる20〜30年よりも長いことになります。
セメント瓦のデメリット
セメント瓦のデメリットは、表面塗装による被膜が無くなると、素材が吸水し雨から建物を守るという機能が失われてしまうことです。
また、焼き物の陶器瓦と比べて脆く割れやすいため、定期的な確認と部分交換のメンテナンスも必須です。
数十年前に製造されたセメント瓦の中には、強度を増すために現在の法律では使用が禁止されているアスベスト(石綿)を含有しているものがあり、撤去時の費用が高額になってしまう可能性があることにも注意が必要です。
セメント瓦の見分け方
セメント瓦の表面仕上げは塗装によるものです。同じような見た目でも、焼き物特有の光沢があるのは陶器瓦で、ザラザラとしたマットな質感があるのはセメント瓦です。
ただ、目視で断定することは一般の方には難しく、屋根に上がるのは危険を伴います。
確認の際には専門工事業者に依頼して、屋根材の種類と劣化程度の確認をしてもらうことをおすすめします。
池本塗装では屋根の点検および修繕見積を無料で承っておりますので、お気軽にご相談ください。
こんな症状が出たら要注意!セメント瓦の劣化を見極めるポイント
セメント瓦を長持ちさせるには定期的なメンテナンスが必要です。
ここでは、劣化が進んでいるサインを見逃さないためのポイントを解説します。
表面の色あせ
セメント瓦はモルタルやコンクリートの表面に塗装をしたものです。
表面が色あせてきたら、塗装が劣化し始めているサインです。
塗装が剥げてグレー色がところどころ見えている状況になると、劣化がかなり進行している可能性があります。
セメントの基材が吸水してしまい、裏側に雨水が回ってしまい雨漏りや屋根下地の劣化を招いてしまいます。
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コケや藻の発生
表面の塗装が劣化してしまったセメント瓦は常に湿った状態になり、日当たりの悪い北側の屋根などにはコケや藻が発生します。
コケや藻が発生すると、セメント瓦の劣化が加速度的に進行してしまい、瓦だけでなく建物の寿命を縮めてしまうことにもつながりかねません。
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瓦のひび割れや欠け
先述のとおり、セメント瓦はモルタルやコンクリートを固めたものです。
内部に鉄筋が入っている訳ではないため、外力に弱く比較的ひび割れしやすいという弱点があります。
ひび割れや欠けが発生すると、その部分から雨水がセメント瓦の裏に回ってしまいます。
ひび割れや欠けの発生は雨漏りや屋根下地の劣化に直結しますので、可能な限り早期にメンテナンスが必要です。
棟瓦のズレ
セメント瓦で葺かれた屋根の頂点には棟瓦があります。
棟瓦は瓦を積み上げて漆喰で固定していますが、地震などの影響でズレが発生することがあります。
棟瓦に発生したズレを放置すると、雨水が浸入して雨漏りを発生させるだけでなく、崩落して周囲の物や人に当たり重大な被害をもたらす恐れがあります。
谷板金や雨押え板金の腐食
雨が流れる「谷」や建物壁との取り合いである「雨押え」の部位は瓦屋根の弱点です。
施工の納まりが難しく熟練の技術が必要とされる部分で、雨漏りが発生しやすい部位でもあります。
谷や雨押えには補強のために板金材が使用されていますが、板金はセメント瓦より先に劣化し腐食してしまいます。
腐食で穴が開く前に交換や補強が必要ですので、定期的な点検は欠かせません。
セメント瓦屋根の塗装メンテナンス方法
セメント瓦の劣化を防ぐためには定期的な塗装メンテナンスが必須であることを説明しました。
ここでは、セメント瓦に塗装メンテナンスをする際の手順と注意点について解説します。
高圧洗浄
まずは屋根面を高圧洗浄して、表面の汚れを除去します。
単に洗えば良いものでは無く、汚れと同時に発生したコケや藻、剥離している塗装も落とすように丁寧に作業します。
洗浄が中途半端な状態で塗装をすると密着が弱くなり、次のメンテナンスまでのサイクルが短くなってしまうため非常に重要な工程です。
ひび割れや欠け箇所の補修
洗浄して綺麗になったら、セメント瓦にひび割れや欠けが無いかを徹底的にチェックします。
軽微な損傷はコーキングなどで手当てが可能ですが、完全に割れが貫通している場合には部分葺き替えが必要です。
セメント瓦は既に製造が中止になっている商品が多いため、新たな材料の調達が難しい場合には板金によるカバーで修復するケースもあります。
下塗り
仕上げ塗料の密着を良くするために下塗り専用の塗料を塗布します。
特に塗装が剥離して基材が露出しているセメント瓦は塗装を吸い込んでしまい、仕上げ塗装が均一に仕上がらない場合があります。
下塗りは吸水を抑える効果がありますので、この工程を省くことはおすすめできません。
上塗り
下塗りが完了したら、既定の時間を置いて仕上げ塗りをします。
仕上げ塗りは2回に分けて行うことが多く、1回目は塗料の性能を発揮するために厚めにしっかりと、2回目は均一で綺麗な見た目になるように薄めに一気に仕上げるのがコツです。
また、セメント瓦同士の隙間に塗料が入り固着してしまうと、裏側に回った雨水の逃げ道が無くなってしまい雨漏りや内部結露の原因になります。
そこで、金属ヘラなどを用いて「縁切り」をしながら塗装作業を進めるのが丁寧な仕事と言えるでしょう。
まとめ
今回はセメント瓦の特徴と塗装メンテナンスの方法について詳しく解説してきました。
セメント瓦は耐久性の高い優れた屋根材ですが、定期的な点検をした上で適切な塗装メンテナンスを継続することが条件になります。
池本塗装ではセメント瓦の屋根の点検と塗装メンテナンスに多くの実績があります。
国家資格を持つ専門技術者による無料点検を実施していますので、まずはお気軽にご相談ください。
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