サイディングは約10年で外壁塗装が必要?費用や工期を詳しく解説
多くの住宅の外壁で使用されている「サイディング」ですが、施工から10年程度が経過するとさまざまな経年劣化の症状が現れてきます。そのサインを見逃して塗装メンテナンスをせずに放置すると、サイディングの劣化が加速度的に進行してしまい、高額な貼り替え費用が発生することもあります。
今回は、サイディングの塗装に掛かる費用や工期について詳しく解説します。大切な住宅を長持ちさせるための、おすすめのメンテナンスサイクルについても説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
サイディング外壁の耐久性は?
サイディングとは、ボード状の建材を現地で建物のかたちに合わせて切断して貼る外壁材の総称です。
サイディングといってもさまざまな種類があり、それぞれ耐久性とメンテナンスの方法も違います。
サイディングの種類と特徴
住宅で使用されるサイディングには、素材により大きく分けて次の4つの種類があります。
・窯業系サイディング
・金属系サイディング
・木質系サイディング
・樹脂系サイディング
それぞれの特徴とメリット・デメリットについて詳しく解説します。
窯業系サイディング
主原料のセメントに木質繊維を混合させてボード上にしたものを、高温の窯で熱処理して硬化させたものです。強度と曲げに対する粘り強さを合わせ持ち、現場での施工性も非常に優れています。工場での大量生産が可能なことからコストパフォーマンスの点でメリットがあり、住宅の外壁材として最も多く採用されています。
様々なテクスチャーや質感を表現できることも窯業系サイディングの強みです。各種メーカーのラインナップの中からお好みの外壁を選べることもメリットといえるでしょう。
ただし、防水性能は表面の塗装に頼っているため、塗装が劣化するとセメントと木質材で構成された基材が吸水してしまいます。そうなると急激に耐久性が落ちてしまうため、定期的な塗装メンテナンスは必須といえます。
金属系サイディング
腐食に強いガルバリウム鋼板やアルミなどの金属材の表面に塗装した外壁材です。耐久性が高く軽量であることから、地震対策の観点からも近年注目されています。
取扱いメーカーが限られているため、窯業系サイディングと比較して選択肢は多くありません。また、近年は金属材の高騰傾向が続いているため、窯業系サイディングと比較してイニシャルコストが高いことも難点です。
窯業系サイディングと同様、表面の塗装は長年のうちに劣化していきます。塗装が剥がれると赤サビなどの腐食の原因となり、最悪の場合には外壁に穴が開いてしまいます。
木質系サイディング
スギやヒノキ系の比較的耐候性のある天然木を外壁材に加工したもので、非常に温かみがあり印象的な外観になります。外壁のアクセントとして使用してもよいでしょう。
ただし、塗装メンテナンスを怠るとあっという間に劣化します。吸水した木材は腐食しカビが発生しますので、長持ちさせるためには雨が掛かる部分を避けて、軒下などの一部に留めるのが賢明かもしれません。
樹脂系サイディング
樹脂の薄板を外壁材に加工したものです。温度変化によって伸び縮みするため、シーリングではなく部材の重ね合わせで防水します。軽量で断熱性が優れている特徴がありますが、雨の多い日本ではあまり広まっておらず、リフォームの外壁カバーリング工法の軽量外壁材として採用されるケースがほとんどです。
表面の色は塗装ではなく樹脂そのものの色ですので、劣化したら材料ごと交換するのが一般的です。
サイディングの劣化サイン
外壁に使用されているサイディングの劣化は、日常生活の中ではなかなか気づきにくいものです。しかし、施工から10年程度が経過するとさまざまな経年劣化のサインが現れてきます。
【サイディング劣化サインの例】
・表面の色褪せ
・外壁の反りやひび割れ
・外壁表面に粉状の物質の付着(チョーキング)
・カビやコケ、藻などの有機物の発生
・外壁目地の隙間(シーリングの欠損)
上記のような症状が出てきたら要注意ですので、塗装専門工事業者に点検してもらうことをおすすめします。
外壁塗装に掛かる費用
外壁塗装の費用はどれくらい掛かるものでしょうか?
ここでは、外壁塗装の見積の見方と費用の目安について説明します。
外壁塗装の見積項目
外壁塗装の見積は、大きく分けて「仮設工事」「本工事」「付帯工事」「諸経費」3つの項目に分かれます。
仮設工事
・足場代
安全作業を行うため、外壁周囲に足場を設置します。安定した適正な姿勢で施工ができますので、塗装の品質も向上します。
・養生費
塗料などの飛散を防ぐために、足場の周囲を養生シートで囲います。窓やエアコンの室外機などを汚さないように、しっかりと養生をおこなってから本工事に入ります。
本工事
・高圧洗浄
外壁の表面に付着したホコリや汚れ、古くなって剥がれかけた塗装などを高圧洗浄機で洗い流します。
・下塗り
既存の外壁材と新しい塗装の密着を良くするために、プライマーなどの接着剤を塗布します。
・中塗り
塗装は1回塗れば完成ではありません。塗膜の厚みを出して耐久性を高めるために、中塗り塗装をします。
・仕上げ塗り
表面に出てくる仕上げの塗装です。雨風から大切な住宅を守るバリヤーとなります。
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付帯工事
・シーリング工事
外壁のつなぎ目やサッシの周りにはシリコン系のコーキング材が充填されています。経年で柔軟性が失われて剥離しますので、塗装の前には適宜シーリングの打ち替えを実施します。
・クラック補修
外壁にひび割れ(クラック)が生じている場合は、その部分をエポキシ系パテなどで補修してから塗装します。
・建具塗装
表面が色あせた玄関ドアや雨戸も、外壁と同時に塗装すると美観がさらに向上します。
・破風板/軒天塗装
外壁塗装時には足場を設置しますので、屋根の軒先の破風板や軒裏も同時に施工することをおすすめします。
・雨樋塗装
樹脂製の雨樋は紫外線の影響で色あせて脆弱になっていることがありますが、塗装によって耐久性を高めることができます。一般的には、交換よりも塗装の方が安価に済みます。
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諸経費
諸経費では工事現場への交通費や駐車場代、施工にあたって使用する機材の損料などが計上されます。
ハウスメーカーや工務店に依頼する場合は、現場監督の人件費や本社機能の運営に掛かる費用なども諸経費に含まれることになります。
外壁塗装に掛かる工期
外壁塗装の工期は建物規模や塗装の内容によって変わりますが、30〜40坪程度の戸建て住宅の場合は2週間前後が目安となります(施工できない雨天の日を除く)。
お客様のご了承をいただければ日中お留守でも施工は可能ですので、ご要望に合わせて柔軟な対応が可能です。
外壁塗装費用の目安
外壁塗装に掛かる費用単価の目安を下記にまとめてみました。
本工事における各工事単価一覧
仮設足場 | くさび式 | ¥700~¥900 / ㎡ |
防炎シート | ¥100~¥200 / ㎡ | |
高圧洗浄 | ¥100~¥200 / ㎡ | |
外壁塗装 | シリコン塗料 | ¥1,800~¥2,300 / ㎡ |
外壁塗装 | ラジカル制御型塗料 | ¥2,100~¥2,600 / ㎡ |
外壁塗装 | 遮熱塗料 | ¥2,500~¥3,000 / ㎡ |
外壁塗装 | フッ素塗料 | ¥3,000~¥3,500 / ㎡ |
シーリング工事 | サッシ廻り | ¥800~¥1,200 / m |
シーリング工事 | 外壁目地 | ¥600~¥1,000 / m |
クラック補修一式 | ¥10,000~¥35,000 | |
養生費用 | ¥10,000~¥35,000 |
サイディングクリア塗装の提案
外壁塗装は、既存の外壁の上に新たな塗膜をつくるコーティングが目的ですので「塗りつぶし塗装」となります。サイディングの当初の模様や素材感は無くなり、新たな塗装の色と質感が表面に出てきます。
当初のサイディングの質感を維持したい方には「クリア塗装」という選択肢もあります。表面に透明の塗膜をつくり、サイディングの色や素材感を維持したまま耐候性を高めます。
ただし、クリア塗装は塗装の色褪せやチョーキングが発生する前に実施することが原則です。遅くとも新築から10年以内に施工することが目安となり、その後も10年程度のサイクルで塗り替えを行っていくようにしましょう。
サイディングのクリア塗装にはアステックペイントの「無機ハイブリッドクリヤー」をおすすめします。
無機成分を豊富に含むことで最高ランクの耐候性を実現しつつ、有機成分とのハイブリッドによりひび割れ・キズに強く、家を永く美しく守り続けます。
▷塗料メーカー「アステックペイント」とは?人気塗料や評判をご紹介
まとめ
外壁サイディングは意匠性が良い上にコストパフォーマンスが高い優れた材料です。
しかし、表面の塗装には定期的なメンテナンスが必要です。劣化のサインを見逃さずに、適切なサイクルで塗装メンテナンスを実施することが外壁サイディングを長持ちさせるコツといえるでしょう。
外壁サイディングに劣化のサインが見られたら、塗装の専門工事業者に早めに点検を依頼しましょう。
池本塗装では、外壁サイディングについてのお客様のお悩みや疑問に丁寧に対応させていただきます。国家資格を持つ塗装職人がお客様の大切な住宅を長持ちさせるための提案をいたしますので、外壁について気になる点がある方はお気軽にお声掛けください。