新築時に使用される塗料はどんな塗料?次のメンテナンス時期についても解説
新築時の外壁は、塗装するものと塗装しないものがあります。
塗装する外壁の代表例は、モルタルやALC(軽量気泡コンクリート)です。塗装しない外壁はサイディングです。ただ、サイディングも、工場で製造された時に初期塗装が施されています。
新築時の塗料の塗膜は、10年ほど経過すれば劣化が始まるため、外壁塗装によるメンテナンスが必要になります。
この記事では、新築時に使用される代表的な塗料を紹介し、次のメンテナンス時期についても解説します。
新築時の一戸建てに利用される外壁材
新築時の一戸建てで使われる外壁材は、主に次の3つです。
✅サイディング
✅モルタル
✅ALC(軽量気泡コンクリート)
それぞれ確認しましょう。
サイディングとは
サイディングとは、工場で生産される外壁用の板材のことで、
・窯業系サイディング
・金属サイディング
・木製サイディング
といった種類があります。
窯業系サイディングは、セメントと繊維質の原料を混ぜて板状に仕上げた外壁材です。
金属サイディングはガルバリウム鋼板に断熱材を張り合わせて作る外壁材です。
木製サイディングは木材に様々な処理を施して、外壁材としての耐久性を高めたものです。
▷サイディングの外壁塗装は必要?メンテナンス方法について解説
モルタルとは
モルタルは、セメントに砂(細骨材)と水を練り上げて現場で施工する外壁です。
塗り壁とも言われており、一昔前の一戸建てでは主流でしたが、現在では、あまり利用されなくなっています。
▷外壁の「モルタル」と「サイディング」の違いや特徴について解説
ALC(軽量気泡コンクリート)とは
ALCは、珪石、セメント、生石灰、発泡剤のアルミ粉末を原料に製造される軽量気泡コンクリートの外壁材です。
サイディングと同様に工場で生産されたものが現場に持ち込まれて施工する形になります。
▷「ALC」や「コンクリート」外壁に適した塗装とは?メンテナンス方法を解説
新築時に外壁塗装が必要な外壁材
上記に紹介した外壁材のうち、新築時に塗装が必要なのは、
・モルタル
・ALC(軽量気泡コンクリート)
の2つです。
モルタルはセメントが主な原料なのでそれ自体は、耐水性がありません。
そのため、施工後に塗装を行うことにより、耐水性を付加する必要があります。
ALCはコンクリートの仲間です。コンクリートなら水分を吸わないと思われがちですが、ALCは内部に多くの気泡を含む多孔質な構造をしています。
気泡が多数あるためにALCパネルの表面で、毛細管現象が生じやすく、内部に水分を引き込んでしまう性質があります。
ALCといえども水分を含んだ状態になると、カビやコケが発生しますし、脆くなってひび割れなどを生じさせてしまいます。
そのため、表面には塗装を施して耐水性を付加する必要があります。
そして、ALCは工場出荷時は塗装されていないため、現場で施工した後で塗装しなければなりません。
それに対して、サイディングは工場出荷時に初期塗装が施されているため、現場では塗装工事を行う必要がありません。
その分、工程が短くなるため、他の外壁材と比べても安価に施工できます。
どんな外壁でも新築から10年を目処にメンテナンスが必要
モルタルやALC(軽量気泡コンクリート)は、新築時の塗装が劣化すると、耐水性が失われてしまうため、長持ちさせるためには、新築時から10年程度を目処にメンテナンスが必要です。
メンテナンス方法には様々な方法がありますが、メインとなるのは、外壁の塗装工事です。
サイディングは、新築時に現場での塗装は必要ありませんが、やはり、10年程度経過すると工場出荷時の初期塗装が劣化します。
特に窯業系サイディングの場合は、主な原料がセメントなので、初期塗装が劣化してしまえば、モルタルと同様に耐水性が失われてしまいます。
金属サイディングだけは、初期塗装が劣化しても耐水性に問題は生じません。ガルバリウム鋼板ならサビにもかなり強いので、雨ざらしになっても直ちには問題はありません。
ただ、サビないわけではないため、早めに塗装することによりサビの発生を防ぐべきです。
新築時に使用される塗料と耐用年数
モルタルやALC(軽量気泡コンクリート)の場合はどのような塗料を使うか選ぶことができます。
サイディングもどのような塗料が使われているかはカタログなどで確認できます。
新築時の塗装方法には、モルタルの外壁であれば、リシン吹き付け、スタッコ吹き付け、ジョリパッド仕上げ等様々な工法があります。
しかし、どのような工法で塗装しているかは、外壁の耐用年数には関係ありません。
耐用年数は新築時に使用される塗料によって異なります。
新築時に使われる主な塗料とその耐用年数は次のとおりです。
アクリル系塗料 | 約6年 |
ウレタン系塗料 | 約8年 |
シリコン系塗料 | 約10年 |
フッ素系塗料 | 約15年〜20年 |
フッ素系塗料を使っている場合は、耐用年数がかなり長いですが、それ以外の場合は、10年も経過すれば、新築時の塗料は劣化しているものと考えるべきです。
特に建売住宅の場合は、価格を抑えるためにアクリル系塗料を使っていることもあるので、新築後のメンテナンスを早めに行っておいたほうが無難です。
外壁塗装によるメンテナンスの目安
新築時から10年も経過した場合は、外壁塗装によるメンテナンスを行うべきタイミングです。
それ以外に次のような症状が表れている場合は、メンテナンスを検討すべきです。
・チョーキング現象
・ひび割れ(クラック)
・塗膜の浮き、はがれ
・シーリング(コーキング)の劣化
ひとつひとつ見ていきましょう。
チョーキング現象
チョーキング現象とは、「白亜化」とも呼ばれ、外壁を手で触ったときに、手の平にチョークの粉のようなものが付着する現象です。
塗膜は、紫外線や風雨に晒されることで次第に劣化し、分解されていきます。
その結果、塗膜の成分である顔料が表面に出てくるようになります。この顔料が粉の正体です。
チョーキング現象が生じている場合は、塗膜の経年劣化が進んでいる証拠なので再塗装が必要です。
ひび割れ(クラック)
外壁材は日光を浴びたり夜間の寒気に晒されたりして、日々、膨張と収縮を繰り返しています。
この膨張と収縮に追従するために塗膜には、柔軟性が備わっています。
ところが、塗膜が劣化すると固くなり、柔軟性が失われます。その結果、ひび割れが発生するようになります。
このひび割れの隙間から雨水が染み込むようになると外壁材の劣化にもつながるため、早めにメンテナンスを行う必要があります。
塗膜の浮き、はがれ
外壁塗装が経年劣化することにより、塗膜が浮いたり、剥がれてしまうこともあります。
細かい剥がれでも、そこから雨水が染み込むようになると外壁材が劣化してしまうため、早めのメンテナンスを行うべきです。
シーリング(コーキング)の劣化
シーリング(コーキング)とは、外壁材の継ぎ目に充填されている目地材のことです。
外壁同士の継ぎ目のほか、外壁とサッシの継ぎ目にも充填されています。
シーリングは、シリコンなどの樹脂で作られているため弾力性があります。この弾力性のおかげて建物の揺れや外壁材の膨張と収縮に追従できるようになっています。
ところが、経年劣化が進むと硬化して、弾力性が失われます。
すると、ひび割れが生じたり、剥がれたりして隙間が生じるようになります。
シーリングの隙間は、外壁内部に雨水が直接侵入する原因となってしまうので、雨漏りの原因になりやすいです。
シーリング材にも寿命があり、外壁塗装の塗膜よりも短いのが一般的です。
普通のシーリング剤であれば、5〜10年で寿命になります。
そのため、外壁塗装は劣化していなくても、シーリングは劣化していることもあるので、早めにメンテナンスを検討すべきです。
外壁塗装によるメンテナンスで考えたいこと
外壁塗装によるメンテナンスでは、様々なことを考えなければなりません。
塗料の耐用年数とメンテナンスの頻度
塗料には寿命があります。
新築時から10年を目処に塗装しても、一般的な塗料だと更に10年経過すれば、劣化するので、再度塗装によるメンテナンスが必要になります。
フッ素系塗料なら耐用年数が長いため、メンテナンスの時期を先送りすることも可能です。
もちろん、耐用年数が長い塗料は高額ですが、メンテナンスの頻度は少なくなるため、トータルコストは安いこともあります。
安い塗料で定期的にメンテナンスをするのか、高い塗料でメンテナンスの頻度を減らすのか、どちらを選ぶべきかよく検討するとよいでしょう。
新築時のデザインを活かすのか、変えるのか?
サイディングの場合は、スタイリッシュなデザインが多く、そのまま活かしたいと考える方も多いと思います。
その場合は、クリア塗装と言い、透明な塗料による塗装も可能です。
ただ、クリア塗装ではひび割れなどの劣化症状を隠すことはできません。
そのため、劣化が進行する前に早めにメンテナンスを行っておくことが大切です。
塗料の色の選び方
塗料の色は様々なものがあるので、現在の外壁の色から大きく変更することも可能です。
ただ、自分の好きな色を選べばよいわけではなく、周辺の住宅との調和も考えなければなりません。
外壁塗装のメンテナンスを機にガラリと色を変えるよりも新築時と同じような色の塗料を選ぶのが無難なことも多いです。
まとめ
この記事では、新築時に使用される塗料はどんな塗料なのか解説しました。
新築時の外壁は大変きれいですが、必ず、経年劣化します。
新築時の外観を維持したい場合は、早めにクリア塗装を行うべきです。10年を経過すれば塗膜が劣化して様々な症状が表れるので、外壁塗装などのメンテナンスを行うべきです。
シーリング(コーキング)も5〜10年で寿命が来るので、外壁の状態が良い場合でも、メンテナンスが必要になることもあります。
池本塗装は、大坂八尾市で外壁塗装・屋根塗装・防水工事などを行う職人直営の塗装専門店です。外壁を健全な状態に保つためには、定期的なメンテナンスが必要不可欠です。新築後10年経過して、一度もメンテナンスを行っていない場合には、外壁の劣化が進んでいるかもしれません。点検やメンテナンスのご依頼は、ぜひ池本塗装にご用命ください。お待ちしております。