外壁塗装におけるリシン吹き付けとは?特徴や施工方法を解説
リシン吹き付けは外壁塗装の一種で、洋風住宅が流行した1970年代から住宅の外壁仕上げとして多く使用されています。
サイディングの普及とともに採用されるケースは少なくなっていますが、工法を進化させながら現代でも使用されている定番の仕上げです。
今回は外壁塗装におけるリシン吹き付けの特徴とメリット・デメリット、メンテナンス方法について分かりやすく解説します。
外壁塗装のリシン吹き付け仕上げとは?
まずはリシン吹き付け仕上げの施工方法と特徴について説明します。
リシン吹き付けは湿式仕上げの一種
リシン吹き付け仕上げは、いわゆる「湿式工法」の一種です。湿式工法とは施工時に水で練る材料を使用する工法のことで、この場合はリシン吹き付けの下地モルタルのことを指します。
現代では施工が比較的容易でスピードが早い「乾式工法」が主流となっており、窯業系サイディングを使用した外壁がその代表です。
リシン吹き付け仕上げの構造
リシン吹き付け仕上げの施工手順は次の通りです。
手順①構造材の上に防水層(アスファルトフェルトなど)をつくる
手順②防水層の上にラス金網を張り、モルタルを塗って平滑な下地をつくる
手順③モルタル下地の上に樹脂やセメントに骨材(珪砂などの小粒石)を混ぜ込んだ塗料をスプレーガンで吹き付ける
整理すると、リシン吹き付け仕上げの断面は外に向かって次のようになります。
①アスファルトフェルト
②ラス(金網)
③モルタル
④リシン吹き付け仕上げ
モルタル層で建物の耐火性能を確保しつつ、吹き付けで表面の防水性を高められる優れた工法であることがお分かりいただけると思います。
窯業系サイディングのような継ぎ目も無いため建物の外壁につなぎ目が表れず、非常に見た目が良いこともリシン吹き付け仕上げの特徴です。
外壁塗装のリシン吹き付け仕上げのメリット・デメリット
リシン吹き付け仕上げのメリットとデメリットとして次の点が挙げられます。
【メリット】
マットで上品な質感
外壁につなぎ目が無い
外壁に透湿性がある
耐火性能が高い
【デメリット】
ひび割れしやすい
汚れやすい
施工コストがやや高い
外壁材としては重い
リシン吹き付け仕上げのメリット
✅マットで上品な質感
つや消しのマットな質感が得られるため、高級感があり意匠性が良い外壁仕上げになります。
色の自由度も高いため、お好みのカラーリングで仕上げることができることもメリットです。
✅外壁につなぎ目が無い
パーツを組み合わせて施工する窯業系サイディングなどと違い、湿式工法のモルタルで壁一面をつなぎ目無しで仕上げることができます。
✅外壁に透湿性がある
表面の吹き付け仕上げには一定の透湿性があり、下地のモルタルが適度に吸湿・放湿することによって「呼吸する外壁」をつくります。
壁内に湿気が溜まりやすい木造住宅では、構造の木材を健全に保つためにこの調湿効果が重要な役割を果たします。
✅耐火性能が高い
下地に塗られたモルタルは耐火性能が高く、隣家で火災が発生した際の延焼を防ぎます。
隣との間隔が狭い住宅密集地でリシン吹き付け仕上げ住宅をよく見かけるのは、この耐火性能が期待されているためです。
リシン吹き付け仕上げのデメリット
✅ひび割れしやすい
木材の乾燥収縮や、強風や地震の外力などの影響によって建物の構造本体には若干の動きが発生します。
リシン吹き付け仕上げの下地モルタルには弾力性が無いため、建物の動きによってひび割れしやすいという弱点があります。
ひび割れを放置すると、その隙間から雨水が浸入して建物を腐食させてしまう危険があることが欠点です。
✅汚れやすい
リシン吹き付け仕上げの表面には強い凹凸があるため、大気中のホコリや粉塵、排気ガスなどの汚れが付着しやすいことが難点です。美観を保つためには、高圧洗浄などでマメに清掃する必要があります。
✅施工コストがやや高い
先述の通り、リシン吹き付け仕上げは湿式仕上げのため施工時に掛かる工数が多く時間も掛かるため、窯業系サイディングなどの乾式工法よりもコストが高い傾向があります。
✅外壁材としては重い
リシン吹き付け仕上げの下地に使用されるモルタル層はかなりの重量になります。そのため、大地震時には建物の横揺れが大きくなり被害が大きくなりやすいこともデメリットと言えます。
外壁吹き付け仕上げの種類
外壁の吹き付け仕上げには、リシン吹き付け以外にも様々な種類があります。
その一部をここでご紹介します。
✅リシン吹き付け仕上げ
骨材を混入した樹脂を吹き付けてそのまま乾燥させて固めるため、表面はザラザラした質感になります。粒が細かく、軽やかな印象になります。
✅スタッコ仕上げ
セメントと骨材を混合した塗料を吹き付ける工法です。リシン吹き付けよりも大きな凹凸で迫力と重厚感を演出できます。
✅吹付タイル仕上げ
下塗りを吹き付けた後にローラーで模様を付ける工法です。その上に光沢のある仕上げ塗料を塗って完成させるため、塗膜が厚い上に汚れにくい特徴があります。
耐久性が求められる高層マンションの外壁等でも多く採用されています。
✅弾性リシン吹き付け
従来のリシン吹き付けの欠点であったひび割れのしやすさを、弾性樹脂を使用して改良した工法です。
表面仕上げに弾力性がありますので、下地の動きに追随するように伸びて微細なひび割れであればカバーします。
✅乾式リシン吹き付け
無塗装の窯業系サイディングを通常の手順で施工し、その上にリシンを吹き付けて仕上げる工法です。
湿式工法の弱点を乾式工法でカバーする工法と言えます。
リシン吹き付け仕上げの外壁塗装メンテナンス方法
リシン吹き付け仕上げの外壁は、美しいだけでなく、耐久性にも優れています。しかし、どんな外壁材でも経年劣化は避けられません。適切なメンテナンスを行うことで、リシン吹き付け仕上げ外壁の美しさと機能を長持ちさせることができます。
リシン吹き付け仕上げの耐用年数
リシン吹き付け仕上げの耐用年数は、一般的に10年〜15年と言われています。ただし、使用している材料や施工方法、環境条件によって大きく左右されます。
耐用年数によらず、ひび割れなどの劣化が見られた場合には専門工事業者に早めに点検を依頼し、修繕を実施する必要があります。
塗装メンテナンスの方法
リシン吹き付け仕上げ外壁の塗装メンテナンス方法は、主に以下の2通りがあります。
上から弾性リシンを吹き付け
既存のリシン吹き付け仕上げの上に、弾性リシンを吹き付ける方法です。既存の仕上げを活かしたまま、ひび割れなどの劣化を補修することができます。
シーラーを塗装してお好みの塗料を塗装する
既存のリシン吹き付け仕上げの上に、シーラーを塗装してから、お好みの塗料を塗装する方法です。より自由なデザインに変更することができます。
その際に使用するシーラーは柔軟性と密着性に優れる「微弾性フィラー」を使用するなどの配慮が必要となることも覚えておきましょう。
リシン吹き付け仕上げの塗装メンテナンス工程
リシン吹き付け仕上げ外壁の塗装メンテナンスは、以下の工程で行われます。
リシン吹き付けのメンテナンス工程①高圧洗浄
高圧洗浄機を使って、外壁に付着した汚れやカビ・コケなどを徹底的に洗い流します。
▷塗装前に知っておきたい 外壁塗装で必要な「高圧洗浄」とは?
リシン吹き付けのメンテナンス工程②下地補修
ひび割れや欠損などの下地の劣化をコーキングやエポキシ樹脂などで補修します。
劣化が著しい場合は、メッシュを張って樹脂モルタルなどによる再度の下地作りが必要なこともあります。
リシン吹き付けのメンテナンス工程③下塗り
シーラーを塗装し、上塗り塗料の密着性を高めます。
リシン吹き付けのメンテナンス工程④中塗り
上塗り塗料の1回目を吹き付け、あるいは塗装します。メーカー既定の塗装厚さになるようにしっかりと肉厚をつけるのがポイントです。
リシン吹き付けのメンテナンス工程⑤仕上げ塗り
中塗りと同じ材料で仕上げを行います。なるべく薄く、均一な仕上がりになるように一気に仕上げます。
▷吹き付け塗装とは?施工方法からメリット・デメリットについて解説
まとめ
リシン吹き付け仕上げ外壁の塗装メンテナンスには、様々な状況での施工経験と高度な技術が必要となります。そのため、経験豊富な専門業者に依頼することをおすすめします。
大阪府八尾市の池本塗装では、国家資格を持つプロフェッショナルが外壁塗装に関するお客様のお悩みにお応えします。
点検と調査は無料ですので、外壁の劣化や雨漏りにお悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせください。