吹き付け塗装とは?施工方法からメリット・デメリットについて解説
外壁塗装を考え始めたら、吹き付け塗装とローラー塗装があることを知り、”何がどう違うの?”と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
専門業者以外の方は、“塗り方の違いだろうけど、詳しいことはよくわからない”方が多いと思います。
両者ともメリット・デメリットがあり、違いを知らないで工事をすると、想像と異なる仕上がりになるかもしれません。
この記事では吹き付け塗装と、それ以外の違いや、吹き付け塗装のメリット・デメリットを解説します。
ご自宅にあった塗装方法を選ぶためにも、最後まで目を通してください。
吹き付け塗装とは
外壁塗装には吹き付け塗装とローラー塗装(手塗り)があります。
ここでは吹き付け塗装の特徴や、ローラー塗装との違い、吹き付け塗装の例を解説します。
吹き付け機械を使用した塗装法
吹き付け塗装はスプレーガンと呼ばれる機械を使って、塗料を霧状にして塗布する工法です。
スプレーガンには、液体塗料に直に空気(エア)をあてて霧状にするエアスプレーガンと、液体塗料に空気(エア)をあてないエアレススプレーガンがあります。
エアレススプレーガンは吹き出し口から塗料を絞りだすように圧力をかけて霧状にする仕組みです。
二種類のスプレーガンがありますが、どちらのスプレーガンを使うかは塗料によって異なります。
吹き付け塗装の作業は壁にスプレーを吹きかけるように見え、壁面には細かい水しぶきがつくように色がついていきます。
仕上がり面には独特な凹凸ができ、その細かな塗料の凹凸が意匠性のあるデザインとして人気です。
手塗りローラー塗装との違い
スプレーガンを使用した吹き付け塗装に対して、ローラーを使って手で塗っていくローラー塗装があります。
ローラー塗装は毛やスポンジ状のローラーに塗料を含ませて壁面に塗っていく工法です。
面積が広い部分はローラーで塗り、ローラーが入らない細かい部分や隅は刷毛を使い丁寧に塗っていきます。
スプレーガンのような機械を使わずに、ローラーや刷毛を使った手で塗る工法であるため、手塗りとも呼ばれます。
手塗りの場合は塗料による凹凸はなく、平らな仕上がりです。
塗装時間は手で作業をするローラー塗装よりも、吹き付け塗装の方が短いのですが、機械を使う音が大きいため注意が必要です。
吹き付け塗装は主にモルタル外壁(※1)に使われ、サイディング外壁(※2)はローラー塗装が主流です。
1990年以降はサイディング外壁を採用する建物が多くなり、吹き付け塗装は減っています。
吹き付け塗装の工事が減っているために、経験のある塗装職人も減っている傾向です。
(※1)モルタル外壁・・・水とセメントと砂を混ぜ合わせた外壁。1990年以前の建物に多い。
(※2)サイディング外壁・・・工場で生産した板材を貼り付ける外壁。1990年代以降主流。
吹き付け塗装の例 3種類
吹き付け塗装の中にもいくつかの塗装方法があり、ここではリシン仕上げ・スタッコ仕上げ・吹き付けタイルの3つを解説します。
・リシン仕上げ
塗料に細かい石や砂を混ぜて吹き付けることで細かい凹凸がつく塗装です。
石の大きさや形で雰囲気が変わるので、好みや希望を伝えて塗装を依頼すると、雰囲気を近づけられます。
ローラー塗装に比べて、塗装期間が短いのも嬉しいポイントですが、塗膜が薄いためひび割れが入りやすい点に注意が必要です。
・スタッコ仕上げ
セメント・砂・石灰・水を塗料に加えて、リシン仕上げより厚く塗る工法です。
厚みがあるので耐久性に優れており、耐用年数も10年ほど見込めるため、塗替え頻度が少なくすむメリットがあります。
表面の凹凸はリシン仕上げよりも大きい凸凹で、隙間に汚れが溜まりやすくなるため、メンテナンスが大事です。
・吹き付けタイル
ウレタン塗料・シリコン塗料・フッ素系塗料の3種類があり、どの塗料も下塗り・中塗り・上塗りをします。
3回塗るため、吹き付け塗装の中では一番時間がかかりますが、下地と密着して剥がれは起きにくいです。
選んだ塗料によって耐久性や料金が異なりますので、気になる方は業者に確認しましょう。
タイルのようにすべすべで高級感のある仕上がりになります。
吹き付け塗装の施工方法
まず下地と塗料を密着させるための、糊の役目をする塗料を下塗りします。
次に、リシン仕上げの場合は砂や石を、スタッコ仕上げの場合はセメントや石灰を塗料に混ぜたものを吹き付けします。
リシン仕上げ・スタッコ仕上げの工程は以上で、ざらざらした仕上がりです。
吹き付けタイルの場合は、下塗り後の凹凸で立体感をつくり、そのあと仕上げの塗料を上塗りします。
立体感をつくる工程を玉吹きと呼び、この作業によって表面がなめらかになります。
仕上げの塗料は吹き付けのケースもあればローラー塗りにされるお客様もいますので、ご相談ください。
吹き付け塗装のメリット
機械を使った吹き付け塗装は、独特な凹凸の仕上がりを好む方が多い傾向です。
他にも以下のようなメリットがありますので、ひとつずつ紹介します。
・デザイン性がある
・短時間で塗り終わる
・費用が抑えられる
デザイン性がある
リシン仕上げ・スタッコ仕上げ・吹き付けタイル以外にも仕上げ法があり、お客様の好みや雰囲気でデザインを相談できます。
同じリシン仕上げでも砂や石のサイズを変えたり、塗料との配合具合を変えたり、職人の吹き付けの力量によっても仕上がりが変わります。
その意匠性が吹き付け塗装のメリットの1つです。
短時間で塗り終わる
手塗りに比べて、機械で行う吹き付け塗装は塗装時間も短く、工程も少ないです。
工期を短くしたい方にはメリットとなりますが、重ね塗りが少ない仕上げ方法ですと、塗膜が薄くひび割れのリスクを伴いますので注意も必要です。
同じ3度塗りでもローラーに比べると吹き付けの方が短時間で仕上がります。
費用が抑えられる
短期間で塗装が終わる分、人件費が下がり、工事費用も抑えられるのは嬉しいポイントでしょう。
ただし塗装業者によって費用は変わりますので、手塗りとどのくらいの費用差なのかは依頼する塗装業者に確認する必要があります。
吹き付け塗装のデメリット
デザインも好みだし、工期が短くなるメリットもあるので、吹き付け塗装が良いと思い始めていませんか?
以下のようなデメリットもありますので、工事を決定する前に、それぞれ確認しておきましょう。
・塗料が飛び散る
・工事の音が騒音になる
・技術力のある職人が少ない
塗料が飛び散る
吹き付け塗装は塗料を霧状にして吹き付けるため、霧状の細かい塗料が周辺に飛び散る可能性があります。
塗装当日、風が強いと思わぬところまで、塗料が飛び汚れてしまう場合もあるので注意が必要です。
近年はお隣の家との距離が狭く、密接している地域もありますので特に注意しましょう。
隣の家だけではなく、駐車している車や自転車、植木鉢など周りにあるものは遠くにずらすなど工夫が必要です。
工事の音が騒音になる
エアスプレーガンやエアレススプレーガンといった機械を使うのに大きな音が出ます。
”塗装で音が出るの?”と疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、液体の塗料を霧状にするために圧をかけるので、大きな音です。
近隣で騒音と感じる方もいるかもしれませんので、近所の方には前もってお伝えするなど配慮が必要です。
技術力のある職人が少ない
モルタル外壁の家が減っている影響からも吹き付け塗装の工事は減っており、施工できる職人は限られています。
限られた職人の中でも、意匠性のあるデザインに対応できる職人は、さらに少ないのが現状です。
意匠性のあるデザインは塗料の混ぜ具合や塗り方など、職人の技が必須の作業です。
デザインや仕上がりにこだわりがある方は、施工会社に対応可否を確認したり、実績があるかを確認したりするのが良いでしょう。
できると聞いていたのに、いざ依頼したら出来上がりが思っていたのと違うことほど悲しい事はありません。
まとめ
スプレーガンを使って塗料を霧状にして壁面に塗る、吹き付け塗装について解説しました。
手塗りに比べて工期が短く、独特な凹凸の仕上がりを好む方には向いている工法です。
ただし施工中に塗料が飛び散りやすく、機械音も騒音になるため、近所の家との距離が近い方は注意が必要です。
また吹き付け塗装の技術がある職人が限られているのもデメリットです。
「池本塗装」では日々技術を磨く職人たちが施工を承ります。
塗装全般についての疑問や不安はもちろん、仕上がりの要望もお伺いしますのでお気軽にご相談ください。