スレート屋根に塗装は必要?メンテナンス方法と必要性を解説
「スレート材」は多くの住宅の屋根に使用されています。スレート材を使用した屋根は軽量で地震に強く、比較的安価な割には耐久性が高いため非常にコストバランスに優れています。
しかし、スレート屋根はメンテナンスフリーではありません。塗装などの定期的なメンテナンスを怠ると、劣化し雨漏りを引き起こすこともあります。
本記事では、スレート屋根の特徴とメリット・デメリット、屋根塗装などのメンテナンスの必要性と方法を詳しく解説します。スレート屋根の住宅にお住いの方にはとても参考になる内容ですので、ぜひ最後までお読みください。
スレート屋根の特徴
スレート屋根は、「カラーベスト」や「コロニアル」と商品名でも呼ばれます。これらは、スレート屋根の大手メーカーであるクボタ(現ケイミュー)の商品名で、一戸建て住宅に使用される屋根材としては最も多くのシェアがあります。日本全国さまざまな気候条件に適合するため、多くの住宅で採用されています。
参考ページ▷「ケイミュー社」
スレート屋根の材質と特徴
スレート屋根の主な原料はセメントです。セメントは強度が高く耐火性に優れた材料ですが、脆く割れやすい性質があります。その弱点を補強するために樹脂繊維を混ぜ合わせて6mm程度の薄い板状に固め、耐候性を高めるために表面に塗装を施しています。
スレート屋根のメリット
スレート屋根には次のようなメリットがあります。
軽量
高耐久
ローコスト
豊富なバリエーション
・軽量
大きな地震が発生すると、住宅が縦横に激しく揺さぶられます。瓦屋根など重い屋根材の場合は揺れが大きくなり、その分建物に与える被害も大きくなってしまう可能性があります。
その点、スレート屋根は瓦屋根の約半分という軽量であるため地震の際に揺れを少なく抑えられます。その分、建物の構造材も瓦屋根よりも小さくすることが可能で、全体として建築コストを下げることができます。
・高耐久
スレート屋根の主原料はセメントであり、これは耐久性の高い材料の代名詞であるコンクリートと同じです。直射日光や風雨に繰り返しさらされる屋根の過酷な環境下でも劣化の進行が遅いため、長期に渡って交換をせずに使用できます。
ただし、セメントには吸水性があるため表面の塗装が無くなると雨水が浸みこんで劣化の進行が早くなってしまいます。
・ローコスト
スレート屋根は工場での大量生産が可能な上に、板状の形状でコンパクトな梱包で運べるため輸送コストも最小限で済みます。荷揚げに大型クレーンなどの重機も必要とせず、少人数で施工が可能です。そのため、高品質の屋根をローコストで仕上げることができます。
・豊富なバリエーション
多くのメーカーからさまざまな種類のスレート屋根が販売されています。色やサイズ、質感などのバリエーションも豊富で、外観のお好みに合わせて多くの選択肢の中から選定できるということも魅力のひとつでしょう。
スレート屋根のデメリット
スレート屋根には次のようなデメリットも存在します。
ひび割れしやすい
定期的な塗装が必要
アスベスト含有の可能性
・ひび割れしやすい
スレート屋根は薄い材料であるため飛来物などの外部からの衝撃に弱く、瓦と比べて割れやすいという弱点があります。輸送や施工の際にも注意しないと不用意に曲げの力を加えてしまい、割れてしまう可能性があります。そのため、取り扱いには経験豊富な職人による細心の注意が必要です。
・定期的な塗装が必要
スレート屋根の表面塗装が薄くなったり剥離したりして劣化すると、セメント基材が水を吸ってしまい急激に耐久性が落ちてしまいます。そのため、長持ちさせるためには定期的な塗装メンテナンスがスレート屋根には必須と言えます。
・アスベスト含有の可能性
1990年代以前のスレート屋根には「アスベスト」がセメント基材の補強材として使用されているケースがあり、撤去コストが高額になる可能性があります。(現在はアスベストが使用禁止となっているため、現行の製品は問題ありません)
アスベストは吸入すると肺などに健康被害をもたらす可能性がありますが、万が一アスベストが含有されていたとしても屋根上にある限りは問題ありません。注意しなければならないのは屋根の解体時です。その際には、厳重に養生をした上でスレート屋根材を取り外し、専門の産廃処理施設に持ち込む必要があります。
スレート屋根のメンテナンスポイント
スレート屋根は、適切なメンテナンスをすれば20〜30年は問題なく使用できるとされています。
ここでは、スレート屋根の劣化度合いを確認する方法と見るべきポイントについて解説します。
スレート屋根の点検方法
まずは外部からスレート屋根の状態を目視点検してみましょう。下屋根があるつくりの場合は、2階の窓などから状況を確認することもできます。ただし、2階や3階の屋根を目視で点検するには屋根に上らなければならないため危険です。必ず専門工事業者に点検してもらうようにしましょう。
色が褪せていたり一部が脱落している場合はメンテナンスの必要がありますので、専門工事業者に確認してもらうことをおすすめします。また、台風などで強風が吹いた後には要注意です。飛来物による損傷や、強風でスレート屋根が浮いてしまうこともあるため特に注意して点検しましょう。
スレート屋根の劣化症状と修理方法
スレート屋根に次のような症状が現れたら要注意です。専門工事業者に正式に調査を依頼し、メンテナンス提案をしてもらうことをおすすめします。
塗装の劣化
ひび割れ
浮きや反り
板金の腐食や脱落
・塗装の劣化
表面の塗装が色褪せたり剥離したりして、セメント基材のグレー色が見えている場合は要注意です。セメント基材が雨水を吸水してしまい、スレート屋根の劣化を早める恐れがあります。
多くの場合は塗装でメンテナンスが可能ですが、セメント基材が劣化して崩れているような場合は塗装しても塗装の密着が弱くなるため長持ちはしません。そのような状態にならないように、塗装による修繕工事は一定のサイクルで計画的に実施しましょう。
・ひび割れ
スレート屋根にひび割れが見られる場合は屋根材の脱落や雨漏りを引き起こす恐れがあるため、できる限り早く専門工事業者にメンテナンスを依頼しましょう。
数枚程度のひび割れであれば、部分的な修理も可能です。一部を新品に交換したり、コーキング等の補修材でひび割れ部分を埋めるものです。ただし、補修材での処置はあくまで応急的なメンテナンスになるため、数年経つと再発してしまいます。
屋根全体にひび割れが広がっている場合は、全面的なメンテナンスが必要です。全ての屋根を剥がして新品に交換する「葺き替え」や、既存の屋根の上から新品の屋根を施工する「カバー工法」を検討したほうが賢明です。
・浮きや反り
一部に屋根材の浮きや反りが見られる場合は、釘やビスの再固定のメンテナンスが必要です。ただし、症状が全体的に広がっている場合は要注意です。スレート屋根を固定している下地材が腐食劣化し、釘やビスが効かなくなっている可能性があります。この場合は下地材まで含めた大規模なメンテナンスが必要ですので、専門業者に下地材の状態まで詳細に点検してもらうことをおすすめします。
・板金の腐食や脱落
屋根の棟や雨押え、谷などに使用されている金属材である「雨仕舞板金」に、サビや浮きなどの不具合が見られる場合も早期のメンテナンスが必要です。釘やビス、コーキングなどで再固定したり、その上から新しい板金を被せるメンテナンス方法が考えられます。
スレート屋根には定期的な塗装が必要
スレート屋根を長持ちさせるための塗装サイクルと、おすすめの塗料について説明します。
スレート屋根の塗装サイクル
スレート屋根は新築の状態からおよそ10年が点検の目安となります。
新築工事を行う建築業者に法律で義務付けられている「瑕疵担保保証」の期間は10年ですので、そのタイミングで専門工事業者に屋根上を点検してもらうと安心です。
初回の塗装は新築から10〜15年の間に実施することをおすすめします。塗料の種類にもよりますが、その後は8〜15年のサイクルで塗装を繰り返すことによってスレート屋根の劣化を食い止め、より長持ちさせることができるでしょう。
スレート屋根に使用される塗料の種類
スレート屋根に使用される塗装には、次のような種類があります。
・アクリル樹脂塗料
・ウレタン樹脂塗料
・シリコン樹脂塗料
・フッ素樹脂塗料
・遮熱塗装
アクリルやウレタン系の塗料は比較的安価で扱いやすくDIYでも施工が可能ですが、耐久性は5〜10年程度と短くなってしまいます。専門工事業者に依頼する場合は、10年以上の耐久性が期待できるシリコン系、さらに耐久性の高いフッ素系の塗料を選定することをおすすめします。
夏場の日射を反射し、室内の暑さを軽減する遮熱塗装もおすすめです。屋根材の表面温度を10℃以上低減し、室内の気温を2〜3℃下げる効果が得られたとする実験結果もあります。
おすすめの塗料については、こちらの記事もぜひ参考にしてください。
▷アステックペイントの「REVOシリーズ」とは?気になる性能を解説
まとめ
今回はスレート屋根の特徴と点検のポイント、メンテナンス方法などについて解説してきました。定期的な点検と適切な塗装メンテナンスサイクルを守ることで、スレート屋根を長持ちさせることができます。
池本塗装ではスレート屋根のメンテナンスについても承っております。点検および見積は無料ですのでご安心ください。国家資格を持つ経験豊富なスタッフが訪問し、お客様のお住まいに最適なメンテナンス方法を提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。