塗装業者が解説!「塗膜の膨れ・剥がれ」の原因と対策とは?
外壁や屋根の塗膜は、膨れや剥がれが生じることがあります。
新築から10年、再塗装時から10年ほど経過して生じた場合は、経年劣化によるものです。一方、数年で塗膜の膨れや剥がれが生じている場合は、施工不良が原因の可能性があります。
塗膜に膨れや剥がれが生じると、外壁材や屋根材を保護する機能が失われて、ダメージを受けてしまう恐れがあるので早めにメンテナンスを行いましょう。
この記事では、塗膜の膨れ・剥がれの原因とその対策について解説します。
塗膜の膨れ・剥がれとはどのような症状か?
外壁や屋根の塗膜に膨れ・剥がれが生じた場合は、塗膜が下地に密着していない状態になります。
塗膜が下地に密着していなければ、塗膜が屋根や外壁の下地を保護できていないことになります。
塗膜が膨れて破けていない場合でもその膨れ部分には空気又は水分が溜まっているので、下地が鉄なら空気や水に触れることで錆びてしまいます。
塗膜が剥がれてしまえば、下地が露出してしまうため、下地材が雨水を直接浴びてしまうため、劣化が早まりますし、雨漏りの原因になります。
このように塗膜の膨れ・剥がれは美観が損なわれるだけでなく、外壁や屋根そのものを痛めてしまうので、早めにメンテナンスが必要になります。
膨れや剥がれを放置した場合のリスク
外壁や屋根の塗膜の膨れや剥がれを放置した場合は、外壁材や屋根材に様々なダメージが生じてしまいます。
✅窯業系サイディングやスレート屋根の場合
窯業系サイディングやスレート屋根は、セメントを主な原料としています。素材そのものは、防水性能がなく、表面の塗膜により、防水性能を維持しています。
窯業系サイディングやスレート屋根の塗膜が剥がれた場合は、下地材がそのまま露出している状態になるため、雨水を吸水してしまいます。
下地材が痛みやすくなりますし、カビや苔が発生するようになります。
また、雨漏りの原因ともなります。
いずれにしても、下地材の寿命を大幅に縮めてしまうため、外壁材や屋根材そのものの交換が必要になることもあります。
✅金属系サイディングや金属屋根の場合
金属系サイディングや金属屋根は、多くの場合、ガルバリウム鋼板が下地材です。
それ自体、サビに強く、防水性の面では問題ないことが多いですが、長期間放置するとやがて錆びてしまいます。
金属は、塗膜が密着していなければ、サビから守ることはできません。
塗膜の膨れにとどまる場合でも、膨れの中には水分や空気が存在しており、内部でサビが進行している可能性があります。
剥がれた場合は、雨水に晒されるので、なおさら、錆びやすくなります。
サビが深刻になると穴が空いてしまい、外壁材や屋根材そのものの交換が必要になることもあります。
✅ALC外壁の場合
ALC外壁は、軽量気泡コンクリートの外壁です。コンクリートなので、防水性があるように思うかもしれませんが、素材に気泡を含む性質から吸水性が高い素材です。
そのため、現場で施工した後は、塗装を行うことにより防水性能を維持しています。
ALC外壁の塗膜に膨れがある場合は、ALC外壁を保護していることになりませんし、剥がれている場合も、雨水を吸水する状態になります。
そのままでは、カビや苔が発生しやすいだけでなく、雨漏りの原因になりますし、ALC外壁の寿命を大幅に縮めてしまいます。
✅モルタル外壁の場合
モルタル外壁は、水、セメント、砂を現場で混ぜ合わせて外壁に塗りつけて作っています。
窯業系サイディングと同じように主な素材がセメントなので、モルタル外壁自体は、防水性能がありません。
そのため、塗装により防水性能を維持することになります。
モルタル外壁の塗膜も、密着していなければ、保護機能を発揮することができません。
膨れがある場合は、内部に水分や空気がある状態なので、カビが発生している可能性があります。
塗膜が剥がれてしまうと、雨水が染み込んで、雨漏りの原因になりますし、モルタル外壁自体がもろくなってしまいます。
塗膜の膨れ・剥がれが生じる原因とは?
外壁や屋根の塗膜の膨れや剥がれはどうして生じるのでしょうか?
その原因は、塗膜の膨れや剥がれが前回の塗装から何年程度で生じたかにより異なります。
前回の塗装から数年もしないで生じている場合は、施工不良の可能性があります。10年以上経過して生じたものであれば、塗膜の経年劣化です。
塗膜の膨れ・剥がれが生じる主な原因を確認しましょう。
塗膜の経年劣化
外壁や屋根の塗料には、寿命があります。
どのような塗料を用いたのかにより異なりますが、概ね、10年も経過すれば、塗膜の経年劣化が始まります。
新築時から、また、再塗装時から10年程度経ってから、塗膜の膨れや剥がれが生じている場合は、経年劣化によるものです。
塗膜の膨れや剥がれがあると、見た目が悪いだけでなく、外壁材や屋根材を痛めてしまうため、早めに塗装工事を検討しましょう。
塗膜の密着性の悪い外壁材や屋根材
寿命の長い塗料を用いたのに、予想よりも早く塗膜の膨れや剥がれが生じることもあります。
その多くは、塗装時の施工不良が原因です。
特に、塗膜の密着性の悪い外壁材や屋根材に塗装する場合は、施工不良が生じやすいです。
代表的なのは、金属系サイディングや金属屋根です。
金属系サイディングや金属屋根に塗装する際は、下地調整の段階で、目荒らしといい表面をザラザラにして塗料が密着しやすくします。
この工程が不十分だと、塗膜の膨れや剥がれが生じやすくなります。
塗装時の施工不良
前回の塗装時から2年〜3年程度で、塗膜の膨れや剥がれが生じている場合は、塗装時の施工不良が原因と考えられます。
金属系サイディングや金属屋根であれば、目荒らしが十分でなかったこともあるでしょう。
また、塗膜と下地の接着性を高めるために下塗りと呼ばれる工程がありますが、下塗りに使う塗料は、下地や上塗り塗料との相性が良いものを選ばなければなりません。
この選定を間違えてしまうと、塗膜と下地の接着性が弱まり、塗膜の膨れや剥がれが生じやすくなります。
塗膜の膨れや剥がれが生じやすい外壁や環境
塗膜の膨れや剥がれは、外壁内部から外に向かって空気や水分が押し出される過程で生じます。
例えば、外壁の内部が湿っている場合、晴れの日に外壁が温められると、その水分が外壁の外に出ようとします。
その際、塗膜があると内部から押し出される形になるため、膨れの原因になります。
ALC外壁であれば、もともと、気泡を含んでいるため、雨の日にその気泡に水分が吸収されて、晴れた日に蒸発します。この過程で、塗膜の膨れが発生することもあります。
ALC外壁だけでなく、モルタル外壁や窯業系サイディングでも同様の状況が生じることがあります。
塗膜の膨れ・剥がれが生じないようにするには?
経年劣化により塗膜の膨れや剥がれが生じる事態は避けようがありませんが、数年で膨れや剥がれが生じるといった施工不良を防ぐためには、塗装工事の際にいくつか注意しなければならないことがあります。
塗装工事の基本的な工程は次のとおりです。
・高圧洗浄
・下地調整
・下塗り
・中塗り
・上塗り
寿命より早く塗膜の膨れや剥がれが生じるのは、前半の3つの工程に問題があることが多いです。
高圧洗浄
高圧洗浄では、高圧洗浄機を使って、屋根や外壁の汚れを落とします。
高圧洗浄機だけで汚れを落としきれない場合は、薬剤やブラシなども用いて汚れをこそげ取る必要があります。
この段階で十分に洗浄しておらず、汚れがついたままだと、下地と塗料の隙間に汚れが入る形になるので、その部分が剥がれやすくなり、塗膜の膨れや剥がれの原因になります。
▷塗装前に知っておきたい 外壁塗装で必要な「高圧洗浄」とは?
下地調整
下地調整とは、外壁材や屋根材に不具合がある場合に補修する工程です。
補修内容は、外壁材や屋根材毎に異なります。
例えば、モルタル外壁なら、構造クラックといい、雨漏りの原因になるような大きなひび割れが生じていることがあります。
このひび割れを残したまま塗装すると、その部分に空気層ができてしまい、塗膜の膨れや剥がれの原因になります。
そのため、こうしたクラックは塗装前に埋める必要があります。
また、金属の外壁などでは、古い塗膜がぼろぼろに剥がれていたり、サビが生じていることもあります。
その上に塗装しても、古い塗膜といっしょに剥がれてしまうため、「ケレン作業」といい、これらの塗膜やサビを削り落とす必要があります。
塗膜の膨れや剥がれを防ぐためはこうした下地調整の作業を念入りに行うことが重要になります。
下塗り
下塗りの工程で塗る塗料は、下地を強化するとともに、下地と上塗り塗料の密着性を高めることを目的としています。
そのため、下地材と上塗り塗料のどちらとも相性の良い下塗り塗料を選ぶことが大切です。
また、下地が劣化している場合は、下塗り塗料を吸い込んでしまい、下塗り塗料の役割を果たさないこともあります。
このような場合は、下塗りを複数回行うなどして十分な塗装を行う必要があります。
まとめ
外壁や屋根の塗膜に膨れや剥がれが生じる原因とその対策について解説しました。
塗膜の膨れや剥がれが生じているのに放置すると外壁や屋根そのものが傷んでしまいます。早めにメンテナンスを行いましょう。
池本塗装は、大阪八尾市で外壁塗装・屋根塗装・防水工事などを行う職人直営の塗装専門店です。
お客様のお宅の外壁や屋根に塗膜の膨れや剥がれが生じている場合は、その原因を突き止めて、対策を講じてから塗装等のメンテナンスを行います。
塗膜の膨れや剥がれで悩んでいる方は、池本塗装にお問い合わせください。ご連絡いただければすぐに対応させていただきます。