外壁塗装における重要ポイント「ケレン作業」とは?
皆さんは、外壁塗装って実際どんなことをする仕事なのか?
と聞かれても、塗装を新しく塗り直してくれるということ以外は、実際に何をしているのか分かっていないことが多いと思います。
しかし、実際は外壁塗装の中でも、塗装の工程はほんの1部であって、養生や下地の調整やらと、塗装以外にも様々な工程があります。
そして、今回紹介するケレン作業というのは、塗装以外の工程の中でも重要な役割を担う、下地調整の中の1つの作業のことを指します。
ケレン作業は、施工の判断に豊富な知識と経験が求められる時があり、塗装の品質と耐久性の保持に、大きく影響を及ぼす重要な工程です!
これから外壁塗装の塗り替えをお考えの方は、是非ご覧になって理解していただけますと幸いです。
下地処理は塗装より大切
外壁塗装では、塗布対象物や環境に合わせて塗料を選定しますが、塗料に含まれる成分によって、耐久年数も費用も大きく変わることがあります。
しかし、いくら高額な塗料を使用しても、下地処理が不十分であるとその高価は著しく損なわれる可能性があります。
- ・完璧な下地処理に安価な塗料
- ・不十分な下地処理に高価な塗料
これらの施工を比べると、長期的に見て建物の保全と塗膜の保護役割は、前者の方が信頼できる結果になることが極めて高いです!
それほどに下地処理は大切なポイントであるといえます。
下地処理
外壁塗装を業者に頼んだことがある方は、見積もりの中に下地処理費という項目を見ませんでしたか?
業者によっては、詳しくケレン費用と書き出してくれる業者もあると思います。
この下地処理は、簡単に説明すると塗装を行う前の準備の工程にあたります。
下地の修復・補修や高圧洗浄、そしてケレン作業とこれらをまとめて下地処理といいます。
この下地処理がきっちりできていないと、塗料の密着が悪くすぐに塗料が剥がれてきたり、内側から外壁の劣化や異常が発生する可能性が高くなります。
ここで外壁塗装工事の1連の流れを説明しておきます。
- 調査 足場計画・外壁の調査・近隣や搬入道路の確認など施工に必要な情報を事前に調べて見積もりを決定します。
- 足場仮設 契約が決まると、まずは作業をするための足場仮設を行います。
- 下地処理 塗装を行う前の準備段階であり、建物や旧塗膜が塗装を施工するに適切な状態になるよう高圧洗浄・ケレン作業などを行います。
- 養生
こちらも塗装する為の準備であり、塗料が塗装しない部分や、周辺の道路や家に飛散しないように行います。
- 塗装 入念な準備をしたうえで、ようやく塗装の工程に入るのですが、施工の中ではもう終盤とゆうことになります。
- 足場解体~引き渡し 塗装が終われば足場を解体して施工が完了という流れになります。
一般的にはこのような流れが多いと思います。
今回説明するケレン作業は、③の下地処理の工程の中の作業になり、ケレン作業がきっちり施工できていない=品質が悪い下地処理に直結する原因になり得ます。
しかし、下地処理の中でのケレン作業は、必ずある訳ではありません。
例えば、前回の塗装が比較的年数が浅く、旧塗膜や下地の劣化が見られないといった時は、高圧洗浄で表面の汚れを取るだけで、塗装が可能なこともあります。
このような下地の状況を、工事施工前に現場調査で業者側が判断するという訳です。
ケレンの目的
では、下地処理にケレンが必要になってくるのは、どういった時に多いのでしょうか?
全てという訳ではありませんが、特にケレンが必要になる大きな2つの判断要素として、サビの発生と旧塗膜の劣化があげられます!
サビが発生している
サビの多くは金属部分に水分・塩分が付着して発生します。
サビを除去しないまま塗装を行っても、塗装直後は一見キレイに見えると思います。
しかし、サビは進行性がある腐食因子なので、塗膜の中の見えない所でどんどん膨れ上がり、最終的には上に塗った塗装も一緒に剥がれ落ちてしまう可能性が高いです。
このサビを確実に除去する為に行うのがケレン作業であり、主に電動工具(ディスクグラインダー)を用いて鋼材の地肌が見えるまで研磨します。
また、金属から雨水などでサビが流れることで、付近にある金属物(ベランダの手すり・窓枠・門扉・シャッター)に、もらいサビが発生していることも多くあります。
こちらも同様、ケレンでしっかりとサビの除去を行います。
旧塗膜の死膜の除去
外壁塗装の塗り替えを行う際は、前回に塗装した塗膜(旧塗膜)の上に新しい塗料を塗ることが多いので、事前に旧塗膜の劣化状況を確認します。
その時に、旧塗膜が下地との密着不良で浮いていたり、剥がれているような箇所があれば、サビと同様にケレン作業で除去します。
塗膜は、まだ下地を守る為の性能を有している部分を活膜、その性能を失っており役に立たない部分を死膜と呼びます。
ケレン作業では死膜のみを除去し、まだ生きている活膜は残して下地処理を行うことが基本になります。
ケレンの種類
ケレン作業にはグレード分けというモノがあり、旧塗膜の状況によりグレードを決定します。
数字が小さい程グレードが高く、かかる手間や時間も多くなるので費用も合わせて高くなっていきます。
- ・2種ケレン:サビの発生と旧塗膜の劣化が著しい場合 主に電動工具(ディスクグラインダー)を使用してケレンを行い、除去しきれないサビや塗膜をハンマー・鋲かき・ワイヤーブラシ・細みの等の手工具も使用して完全に除去する。
- ・3種ケレン:サビの発生と旧塗膜の劣化が部分的にある場合 電動工具と手工具を用いて、部分的に劣化した塗膜とサビを完全に除去します。
- ・4種ケレン:チョーキングや汚れの除去だけでいい場合(サビの発生もなし) サンドペーパー・マジックロン・ワイヤーブラシなどを用いて、チョーキング(粉上になった劣化した塗膜)や汚れを除去します。
2種ケレンよりも高いグレードで1種ケレンというケレンもありますが、1種ケレンは旧塗膜を完全に除去し、鋼材の地肌を露出させる工法であり、高速道路や電車の線路などの構造物の塗り替えなどで施工されることが多く、外壁塗装で施工されることはほとんどありません。
ケレンが不十分だとどうなるの?
ケレンが不十分ということは、下地の状況が塗装作業に適切でないということになりますので、塗装の施工後、長期に渡って様々な問題が生じる可能性が出てきます!
ケレンが不十分なまま塗装すると起こる現象
- はがれ サビ・塩分・水分・その他不純物が塗膜層間あるいは塗膜と下地の間に混入したままになると、上に塗った塗膜が、下地や下層の塗膜へ密着不良を起こします。 その部分が次第に剥がれていき、下塗りや下地が露出し塗膜全体や建物自体への劣化にも繋がります。
- 鋼材の腐食 サビは完全に除去しない限り、再び鋼材の腐食が進行します。 塗膜の密着不良等の影響ももちろんありますが、建物や骨組みがサビの腐食劣化で強度が低下するのが大きな問題です。 1度腐食した部分は元に戻すことはできないので、取り換えなどの大がかりな施工になってくる可能性が出てきます。
まとめ
今回の記事では外壁塗装におけるケレン作業がよく分からない一般の方へ、実際のケレン作業のグレード別の説明やケレンが必要な状況などを紹介しました。
またそのケレンが不十分なまま塗装するとどうなってしまうのかも合わせてご紹介しましたね。
今回の記事の内容をもう一度整理してまとめると、ケレン作業という作業は外壁塗装の工程の中の下地処理の1工程であり、塗布面の状況によっては必ずしも必要な作業ではないということ!
しかし、ケレン作業が必要だと判断した場合は下地の腐食や劣化している部分があるという判断なので、費用や時間がかかっても確実に施工しなければいけないということ!
そしてこのケレン作業の良し悪しが、長い目で見ると塗装だけではなく建物自体に影響を及ぼす可能性もあるということ!
ここまで理解していただければ、ケレン作業がいかに大切な工程かということが理解されたと思います。
実際に外壁の塗り替えをお考えの方は、見積もりの段階や職人さんに質問してみてもいいかと思います。
「しんどい作業だけど、ここは手を抜けないからね!」
このような返事が返ってくれば、その業者さんは信頼できる業者さんと言えます。
池本塗装では、外壁塗装の基本、ケレンをはじめとする下地処理には一切手を抜きません。
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