八尾市の塗装職人、池本塗装が教える知っておきたい屋根修理の豆知識

知っておきたい塗装の豆知識

あまり知られていない軒天の役割と塗装メンテナンスの重要性

建物を下から見上げた時に見える「軒天(のきてん)」ですが、屋根や外壁の塗装メンテナンスの際には同時に塗装すべき箇所です。

本記事では軒天の役割と使用されている材質、メンテナンス方法について解説します。
屋根や外壁の塗装メンテナンスのご検討の際には、ぜひ参考にしてみてください。

軒天とはどの部分?

軒天とは「軒天上(のきてんじょう)」の略です。
まずは軒天が使用される箇所とその役割、使用される材質について解説します。

軒天が貼られている場所

外壁より飛び出している屋根部分を軒(のき)と言いますが、軒天はその軒を下から見上げたときに見える部分です。
屋根の軒は、建物の外壁が雨に濡れるのを軽減して劣化を防ぐ重要な機能があります。また、南面の軒がある程度出ていると、真夏の昼間の直射日光が直接窓から差し込むのを防ぎ、室内が暑くなるのを防ぐ効果もあります。

軒天の役割

構造材を隠して劣化を防ぐ

その軒ですが、屋根材を伸ばして作りますのでそのままでは垂木(たるき)や野地板(のじいた)などの構造材が露出してしまいます。伝統的な木造和風住宅では露出したままのこともありますが、無垢の木材であるため頻繁に塗装などで手入れをしないと黒ずみ、美観を損ねてしまいます。

鉄骨造やツーバイフォー工法の住宅では軒の裏側は鋼材や合板であるため、無垢の木材よりも腐食・劣化しやすくなります。
そこで、耐候性のある板を貼って軒天を作り保護する必要があるのです。

火災時の延焼を防ぐ

火災防止の観点からも軒天には大きな役割があります。
隣地の建物から火災が発生した時、もっとも燃え移りやすいのは木造住宅の屋根と軒天です。
建築基準法では市街地などの建物密集地には「防火地域」「準防火地域」「法22条地域」などの指定がされており、それらの地域では屋根や軒天に燃えにくい材料を使用することが義務付けられています。
よって、それらの地域では軒天を貼って火災時の延焼を防ぐ機能を付加しなければなりません。

外壁や小屋裏の熱気を逃がす

外壁の裏側や屋根下の空間は、夏場には高温の熱気がこもります。熱気を排出しないと室内が高温になってしまうため、軒裏の空間を利用して自然排熱するように設計・施工されている建物もあります。
その場合には軒天に穴が開いた「有孔ボード」を使用していることが多いでしょう。金属製、あるいは樹脂製の専用通気スリットを設ける場合もあります。

軒天に使用される材料

軒天には、機能性やデザイン性によって様々な素材が使用されています。
それぞれの特徴と、メリット・デメリットについて整理してみました。

ケイカル板

ケイカル板は「ケイ酸カルシウム板」の略称で、繊維状の石綿やパルプを混ぜて板状に成形した建材です。
安価な割に耐火性や耐久性に優れており、現在では最も主流な軒天材として広く使用されています。

【メリット】
安価な割に耐火性と耐久性に優れる
軽量で施工性が良い
現場塗装でお好みの色に仕上げられる
【デメリット】
吸水性があるため水シミが発生しやすい
湿度の高い環境ではカビや藻が発生しやすい

プリント合板

プリント合板は、合板の表面に木目や模様などを印刷した化粧材です。
豊富なデザインと比較的安価な価格が魅力で、住宅の外観にアクセントをつけたい場合におすすめです。

【メリット】
比較的コストが安価
メーカーの様々なデザインから選択が可能
意匠性に優れ和風住宅にも合う
【デメリット】
耐久性はケイカル板などに比べて劣る
表層が経年劣化で剥がれることがある
濡れたまま放置すると腐食しやすい

羽目板

軒天に使用される羽目板(はめいた)は、杉やヒノキなどの木材を板状に加工した天然木材です。天然木の温かみと味わいを演出することができ、高い意匠性があります。

【メリット】
天然素材ならではの温かみと風合い
デザイン性が高く高級感がある
【デメリット】
他の素材に比べて高価
腐食や虫害が発生しやすく、定期的な塗装メンテナンスが必要

窯業系サイディング

窯業系サイディングは、主原料のセメントに木質繊維を混合させてボード上にしたものを、高温の窯で熱処理して硬化させたものです。
軒天に求められる耐火性と耐久性を兼ね備えており、長期間美しい外観を維持することができます。

【メリット】
優れた耐火性と耐久性
塗装メンテナンスが長期間不要
様々なデザインやカラーから選択が可能
【デメリット】
重量があるため施工に配慮が必要
他の素材に比べてやや高価

金属板

ガルバリウム鋼板やアルミ板などの金属板を軒天に施工するケースもあります。
金属板は軽量で施工性に優れているだけでなく、耐火性と耐久性だけでなく耐水性にも優れています。

【メリット】
軽量で施工性に優れている
優れた耐火性と耐久性、耐水性がある
【デメリット】
沿岸部では潮風により錆が発生しやすい
定期的な塗装メンテナンスが必要(ステンレス材やアルミ材を除く)

軒天の劣化サインと塗装メンテナンス

軒天に次のような症状が現われたら、劣化が進行しているサインです。
屋根の雨漏りなどの重大な不具合が原因のケースもありますので、時折目視でチェックしてみましょう。
軒天の状態は外観から確認できますので、異常が見られたら専門工事業者に調査を依頼することをおすすめします。

軒天の劣化サイン

色あせ

材料の経年劣化や紫外線による表面塗膜の色あせは、軒天の劣化の初期症状です。
美観上の問題だけでなく、表面の耐水性も損なわれていると考えた方がよいでしょう。

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シミの発生

軒天に雨や汚れが染み込み、シミが発生することがあります。
天気が良い日でも常に水シミのようなものが広がっている場合は屋根の雨漏りの可能性があります。専門業者に点検をしてもらいましょう。

カビや藻の発生

常に湿気の多い場所では、カビや藻が発生しやすくなります。軒天は高所にあるため洗浄等で除去するのが難しいのが難点です。

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穴開きや表面の剥がれ

軒天の劣化が進行すると、穴が開き表面が剥がれ落ちてきます。穴から鳥やコウモリなどが侵入して室内に入ってくるケースもあります。
また、劣化により軒天材が落下してしまうと、人や物に当たって重大な損害を与えることもありますので要注意です。
この段階まで劣化が進むと塗装メンテナンスでは回復が難しく、張り替えとなるケースが多いでしょう。

軒天の塗装メンテナンス

上記のようなサインが現れたら、軒天の塗装メンテンナンスを検討しましょう。
塗装することで、次のような効果を得ることができます。

✅美観の回復

色あせた軒天を塗り替えることで、建物全体の外観が蘇ります。

✅耐久性の向上

雨風による浸水から軒天を守り、劣化を抑制します。

✅防水機能の向上

塗装による塗膜が雨水を弾き、水シミやカビや藻の発生を防ぎます。

軒天塗装で使用される塗料

軒天塗装には、主に以下の2種類の塗料が使われます。

SOP塗料(合成樹脂系塗料)

いわゆる「ペンキ」塗料で、耐候性や耐久性に優れています。ただし、施工時にシンナー系の溶剤の臭いが発生するのが難点です。

EP塗料(エマルションペイント)

最近の主流は水性エマルション塗装です。比較的低価格でムラになりにくく、施工しやすいのが特徴です。
施工時に臭いが発生せず、近隣に配慮が必要な住宅街での施工では一般的に使用されています。

軒天塗装で人気の色

軒天塗装で人気のある色は以下の3色です。

ホワイト・アイボリー

清潔感があり、どんな建物にも合わせやすい定番の色です。

茶・ベージュ

木質感があり落ち着いた雰囲気になります。

グレー・ブラック

シャープでスタイリッシュな印象を与え、建物を引き締めます。

軒天塗装の費用相場と耐用年数

軒天塗装の費用相場と耐用年数について説明します。

軒天塗装の費用相場

軒天塗装の費用相場は、塗料の種類や施工面積、依頼する業者によって異なりますが、一般的には1㎡あたり800円~1,500円程度です。
また、軒天塗装には足場の設置が必要であるため、屋根や外壁の塗装と同時に実施することをおすすめします。

軒天塗装の耐用年数

軒天塗装の耐用年数は、EP塗料の場合は10年〜15年程度SOP塗料の場合は10年〜20年程度です。
屋根や外壁の塗装サイクルに合わせて、コストと耐久性のバランスを考えた施工を専門工事業者に提案してもらうようにしましょう。

まとめ

軒天は、建物を火災や風雨から守るという重要な役割を果たす部位です。
メンテナンスを怠ると劣化が進んでしまい、建物の美観を大きく損なうだけでなく建物の性能上も問題を引き起こしてしまいます。

軒天に劣化のサインが見られたら、塗装の専門工事業者に早めに点検を依頼しましょう。
池本塗装では、屋根や外壁、軒天などについてのお客様のお悩みや疑問に丁寧に対応させていただきます。
国家資格を持つ塗装職人がお客様の大切な建物を長持ちさせるための提案をいたしますので、建物の外装について気になる点がある方はお気軽にお声掛けください。

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この記事は私が監修しました

池本塗装代表:池本 竜也

池本塗装代表:池本 竜也

塗装職人歴15年、1級塗装技能士・2級施工管理技士取得。一級技能検定にて優秀賞受賞、塗装技能大会にて大阪府知事賞、大阪代表の塗装職人として全国大会出場など。安心した塗装をご提供できるように日々技術を磨いています。

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