鉄骨階段に錆が発生したら早めの塗装メンテナンスを!錆の再発を防ぐ塗装方法も解説
アパートなどに設けられている外部階段は鉄骨製であることが多く、塗装メンテナンスをせずに放置すると錆が発生してしまいます。錆が発生すると美観を損ない外観のイメージが大きく低下するだけではなく、崩落・転落など重大な事故を引き起こしてしまうこともあるでしょう。
また、外部から屋上に上がるメンテナンス用の階段や各階から地上に降りる避難階段は普段使用しないため、気が付かないうちに腐食が進行して手の施しようがなくなり、交換工事で高額の費用が掛かることもあります。
そこで今回は外部の鉄骨階段の錆が発生する原因と、塗装メンテナンスによる対処方法について解説します。賃貸マンションやアパートを所有されている方、各種商業施設や工場などを管理されている方には必見の情報ですので、最後までお読みいただき建物の管理計画にお役立てください。
鉄骨階段が錆びる原因
まずは鉄骨階段に錆が発生する原因とそのデメリットについて見ていきましょう。
錆の原因
錆は金属の表面に発生する酸化物であり、酸素や水分と鉄が反応することによって発生します。
空気中に含まれる酸素と水分が直接鉄の表面に接すると錆が発生しやすくなり、塩化物や硫黄などを含んでいる排ガス、ほこりや汚れが付着しやすい環境下では、さらに錆の発生が促進されてしまいます。
そのため、沿岸地域や幹線道路沿い、人の手が触れやすい環境では特に注意が必要です。
錆が発生することのデメリット
錆が発生すると、表面のツヤが失われて赤茶色や黒色に変色し外観を大きく損ねてしまいます。また、錆の発生によって鉄材の肉厚が徐々に減って行き、最終的には穴が開いて強度が大きく低下することになります。
このように、美観面でも安全面でも鉄骨階段にとって錆は大敵であるといえます。
鉄骨階段に発生する錆の種類と防止方法
鉄骨階段に発生する錆にはいくつかの種類があります。中には特に気にする必要のない錆の種類もありますので、それぞれの違いについて解説します。
錆の種類
赤錆
日常生活でも多く見られるのが赤錆であり、いわゆる「サビ」といえば赤錆のことを指します。赤錆は化学式「Fe2O3」と表される酸化鉄のことで、鉄と酸素が結合することによって発生します。赤錆は鉄そのものを腐食させてしまいますので、長期間放置しておくと鉄がボロボロに劣化して強度を大きく損ねてしまいます。
黒錆
赤錆に対して「黒錆」と呼ばれるものもあります。黒錆は化学式「Fe3O4」で表され、鉄の表面にできる酸化膜のことです。赤錆と違い鉄を腐食させることのない良性の錆ですが、自然に発生することはなく工業的な化学処理によって鉄の表面に保護膜を発生させる必要があります。
もらい錆
「もらい錆」と呼ばれる軽微な赤錆もあります。これは表面に付着した空気中の鉄分が錆びたもので、金属加工をしている工場や工事現場の周辺でみられることがあります。本体の鉄に発生した錆ではないため腐食を進行させることはありませんが、放置すると塗装を痛めて本体に侵食する可能性もあります。発生初期は拭き掃除で落とせますし、こびりついた錆であってもワイヤーブラシなどで擦り落とせますので、早めに除去しておくと無難でしょう。
錆の防止方法
鉄は放置すると酸化鉄になろうとする働きがあり、自然界ではこの酸化鉄の状態で安定して存在しています。
そのため、生の鉄をむきだしにしないことが錆を防止する基本的な考え方になります。
防錆効果のある塗料を塗る
鉄骨階段に発生する赤錆を予防するには、常に表面に塗膜があり鉄が空気に直接触れない状態を維持することです。いわゆる「ペンキ」を定期的に塗装するのが一番の予防になりますが、鉄材用の防錆材を併用するとさらに効果が高まります。
DIYでも可能ですが、適切な下地処理と塗装工程の手順を踏むためには専門工事業者に依頼する必要があります。
乾燥した状態を保つ
赤錆は水分の少ない環境下では発生しにくくなります。そのため、鉄骨階段の上に屋根を掛けたり側面を囲ったりして雨風を防ぐと錆の進行を遅らせることができます。
新築時に鉄骨階段を計画する際には、このような計画を検討されることをおすすめします。
メッキ加工をする
鉄骨階段を新築時に設置する場合や、腐食が進行してしまった鉄骨階段を入れ替える際には「亜鉛メッキ(ドブメッキ)」製のものを選定するとよいでしょう。これは鉄の表面に電気処理で溶融亜鉛を被覆させるもので、塗装よりもはるかに高い耐久性を有します。
錆びた鉄骨階段の塗装メンテナンス方法
鉄骨階段を適切にメンテナンスして長持ちさせるためには、次の二つを守ることが基本的な考え方になります。
✅鉄が腐食する前に計画的に塗装メンテナンスを実施する
✅塗装工事の際には錆の再発を防ぐ手順と工法で実施する
鉄骨階段塗装の塗装サイクル
メッキ処理されていない鉄骨階段の塗装サイクルは、10〜15年程度が一般的です。中間の5年おきに点検を実施し、安全性の確認と塗装剥離箇所の部分的な補修やもらい錆の除去などを行うとさらに長持ちするでしょう。
【鉄骨階段の塗装メンテナンスサイクル】
✅5年ごとの点検・部分補修
✅10~15年ごとの塗替え
鉄骨階段塗装の施工手順
鉄骨階段の塗装メンテナンスの際には、上塗りの塗装と同じくらい下地処理も重要な要素になります。なぜなら、発生した錆が残ったまま塗装をしてしまうと塗装の内部で錆が進行し、見た目で分からないうちにさらに腐食を進行させてしまう恐れがあるからです。推奨する塗装工程は下記の手順となり、それぞれの工程のポイントを以下に解説します。
【鉄骨階段の標準的な施工手順】
✅錆と劣化塗膜の除去(ケレン)
✅溶接補修
✅錆止め塗装
✅中塗り
✅上塗り(仕上げ塗り)
錆と劣化塗膜の除去(ケレン)
最初に重要なのが、発生している錆と密着していない古い塗装を完全に除去することです。ディスクグラインダーやサンダーなどの研磨機械で落とし、細部はワイヤーブラシなどを使用して入念に施工します。この作業を「ケレン」といいます。
この段階で発生した錆を除去しておかないと、後の工程が意味をなさなくなりますので非常に重要です。
溶接補修
ケレン作業の完了後に、腐食して強度が落ちている箇所がないかをチェックします。塗装によって強度を高めることはできませんので、鉄骨階段に鉄板を現場溶接して補強することになります。
踏板に使用されているタイルやモルタルのひび割れなどの劣化が見られる場合も、それぞれ専門工事業者による補修が必要になる場合があります。
錆止め塗装
仕上げ塗りに入る前に錆止め塗装を塗布します。これは鉛や亜鉛成分を含有した下塗り専用の塗料で、鉄部の塗装には必須のものです。錆止め塗装をすることによって酸化に対抗する強い皮膜が形成され、赤錆が発生しにくくなります。
外部に晒されることのない構造材や外壁・屋根の下地材などは錆止め塗装のみで問題はありませんが、屋外の鉄骨階段の場合は耐久性を高めるために仕上げ塗りが必要です。
▷サビ止め塗料とは?必要性から池本塗装のおススメ塗料をご紹介
中塗り
中塗りは、仕上げ塗りと同じ塗料を使用して均一に塗装をしていく工程です。
塗料は一度に厚く塗り過ぎると液ダレや塗りムラが発生してしまい、本来の効果が発揮できなくなります。そのため多くの塗料は少なくとも2回に分けて塗布することを前提に設計されています。
上塗り(仕上げ塗り)
中塗りが完了して既定の乾燥時間を置いたら、いよいよ仕上げ塗り(上塗り)です。見た目が均一になるように、できるだけ同じ気温・湿度の条件で一気に塗っていくことがポイントです。
ここまでが鉄骨階段の塗装手順の解説になります。完了時の見た目では下地の処理については分からないため、専門工事業者に依頼する際には、工事の施工写真と使用した材料のメーカー・品番・使用量などを明示してもらうようにしましょう。
まとめ
今回は鉄骨階段に発生する錆を予防する方法と、塗装メンテナンスについて解説してきました。大阪府八尾市に本拠を置く池本塗装では、鉄骨階段の塗装に重要な下地処理にも、見えなくなるところだからといって手を抜くことはありません。心を込めた施工でお客様のご期待に応えます。溶接補強やタイル・モルタルの補修が必要な場合でも、協力会社を手配してワンストップで対応が可能です。
点検および見積は無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
〈施工事例〉