外壁塗装でひび割れの対策?マスチック工法のメリットについて解説
外壁にはさまざまな種類があり、素材によってはひび割れを起こしてしまう外壁もあります。そんなひび割れを起こした外壁に、ぴったりな塗装がマスチック工法です。
この記事では、マスチック工法の特徴やメリット・デメリット、施工手順などを詳しく解説します。外壁のひび割れに悩んでいる方や、マスチック工法について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
マスチック工法とは
マスチック工法とは、外壁などの塗装に用いられる工法の一つです。マスチックローラーと呼ばれる専用の塗装ローラーを使用し、通常の塗料に比べて弾性のある粘度の高い塗料を下塗りとして厚く塗ることで、塗膜表面にひび割れを起こしにくくする働きがあります。
スポンジのような細かい穴が無数に空いたマスチックローラーは、通常のローラーに比べて、より多くの塗料を含ませることができる厚塗りに特化したローラーです。マスチックローラーによって下塗りをした後に、弾性を持つ塗料を上から塗ることで、塗膜全体に高い追従性を持たせる特徴があります。
日本住宅公団(現・都市再生機構)と大手塗料メーカー5社との共同開発によって誕生したマスチック工法は、その独自性から工法特許が取得されており、施工管理者に向けた「マスチック仕上性能管理士」や、技能者に向けた「マスチック仕上士」といった認定資格制度が、全国マスチック事業協同組合により設けられています。
マスチック工法のメリット
マスチック工法のメリットは次の通りです。
✅ひび割れが起きにくくなる
✅防水性能が向上する
ひび割れが起きにくくなる
外壁は、太陽の熱や湿気、風や地震の揺れなどで、視認できないほどの微細な伸び縮みを繰り返しています。とくに、セメントを原料にした外壁では、繰り返す伸縮によってひびが入ってしまう事も多くありますが、マスチック工法に用いられる塗装には、弾性を持たせた塗料を使用しているため、外壁の伸縮に合わせて塗膜が伸び縮みすることで、ひび割れを防ぐ働きがあります。また、既にひび割れが起こっている外壁にも、弾性塗料が浸透するため、びびの拡大を防ぐ効果が期待できます。
防水性能が向上する
外壁材の多くは、表面に塗装による塗膜を形成することで、汚れや雨水から外壁を守っています。マスチック工法は、マスチックローラーの特徴により、通常の塗装に比べて塗膜を厚く塗れるため、外壁表面の防水性能が向上します。
マスチック工法のデメリット
マスチック工法のデメリットは次の通りです。
✅施工費が割高
✅耐用年数が短い
✅汚れやすい
施工費が割高
マスチック工法は、塗膜に十分な弾性を持たせるため、マスチックローラーを用いて厚塗りをします。その分、使用する塗料が増え、通常の塗装に比べて施工費が割高になるデメリットがあります。
耐用年数が短い
通常の外壁用塗料は、種類にもよりますが、10年以上の耐用年数をもつことも珍しくありません。マスチック工法に用いられる弾性を持たせた塗料は、耐用年数が5~7年ほどと、通常の塗料に比べ短い特徴があります。古くなった輪ゴムが硬くなるのと同じように、弾性を持たせた塗料は施工後、さまざまな要因によって経年とともに弾性を失ってしまうデメリットがあります。
汚れやすい
通常の塗装は、塗膜表面が硬くなるため、雨シミや排ガスに含まれる煤などの汚れがついても雨水で流れやすくなります。一方弾性塗装は、塗膜表面が通常の塗装ほど硬くならないため、汚れや煤がついても雨水で落ちにくく、汚れが溜まりやすい特徴があります。近年では、弾性塗料でありながら防汚性を高めた超低汚染性塗料も登場しているため、そういった弱点をカバーする塗料も選択できます。
マスチック工法が最適な外壁材
マスチック工法は、ひび割れを起こした外壁以外にも、モルタルやALCの外壁に最適な塗装工法です。モルタルは、セメント・水・砂を混ぜた素材で、かつて日本住宅の外壁材として広く普及しました。モルタルによる外壁は、継ぎ目がないためコーキングが不要といったメリットがあり、レンガなどの目地に結合剤として用いられることもありましたが、施工期間が長く、卓越した技術を用することや、ひび割れを起こしやすいといったデメリットがあり、現在ではモルタルが採用されることは少なくなりました。
ALCは、硅石・セメント・生石灰と発泡剤のアルミ粉末を混ぜ、高湿高温蒸気養生処理により製造された軽量気泡コンクリート(autoclaved lightweight aerated concrete)です。工場でパネル状に成型された物を外壁として使用することが多く、高い遮音性・断熱性・耐久性と不燃性を持ち、コンクリートの1/4程度の重量であるため、住宅全体にかかる重量を抑えられるメリットがある一方、施工費が割高で、吸水性が高いといったデメリットがあります。マスチック工法は、モルタルとALCのデメリットを補う特徴があるため、2つの外壁材に最適な塗装工法と言えます。
▷「ALC」や「コンクリート」外壁に適した塗装とは?メンテナンス方法を解説
マスチック工法に使用する下地塗料(フィラー)の種類
マスチック工法に使用する下地塗料の種類は次の通りです。
・微弾性フィラー
・弾性フィラー
・高弾性フィラー
微弾性フィラー
マスチック工法で最も一般的なフィラーが、微弾性フィラーです。適度な弾性を持ち、塗膜表面のひび割れをしっかりと防ぐ働きがあります。モルタルやALCの外壁に、最も用いられるフィラーでもあります。
弾性フィラー
微弾性フィラーよりも弾性を増したフィラーです。微弾性フィラーに比べて柔らかいため、追従性が増しますが、その分価格も上がります。
高弾性フィラー
最も弾性の高い柔らかなフィラーです。価格はフィラーの中で最も高価ですが、非常に柔らかいため、ひび割れに強く、長い期間弾性を維持する特徴があります。弾性フィラーや高弾性フィラーは、柔らかい塗料であるため、高温などが原因で膨らんでしまうことがあります。施工できる外壁材の判断や、正しく施工するための知識・経験が必要不可欠です。
マスチック工法を用いた外壁の施工手順
マスチック工法を用いた外壁の施工手順は次の通りです。
・シーラー下塗り
・フィラー厚塗り
・中塗り
・上塗り
シーラー下塗り
外壁材がひび割れを起こしていた場合や、外壁材が塗料を吸収しやすい素材の場合、シーラーと呼ばれる吸収抑制と密着性向上を目的とした塗料を最初の工程で塗布します。なお、外壁の状態が良い場合には、この工程は省略され、次の工程であるフィラー厚塗りからスタートします。
フィラー厚塗り
マスチックローラーを用いて弾性のあるフィラーを厚塗りします。この工程を行うことで、外壁のひび割れを埋めたり、外壁の伸縮に追従させることで塗膜表面のひび割れを防ぐことができます。フィラーを厚塗りすると、ゆず肌のように凹凸のある表面になります。なお、マスチックローラーを使用するのはこの工程のみです。
中塗り
通常のローラーを用いて、弾性のある塗料を中塗りとして塗布します。
上塗り
中塗りが乾燥したら仕上げの上塗りを行います。なお、ここでは、「中塗り・上塗り」と表現しましたが、施工業者によっては「上塗りを2回」や、「仕上げ塗りを2回」と表現する場合もあります。中塗り・上塗りともに同じ塗料を使用するのが一般的です。
▷外壁塗装は3回塗りが基本!下塗り・中塗り・上塗りの違いとその役割について
まとめ
この記事では、マスチック工法の特徴やメリット・デメリット、施工手順などを詳しく解説しました。スポンジに似た構造のマスチックローラーを使用し、フィラーを厚塗りすることでひび割れに強い塗膜を作るのがマスチック工法です。
ひび割れの補修や予防、モルタルやALCといった外壁にも効果的な工法で、高い追従性や防水性能を付与できるメリットがある一方、施工費が割高で耐用年数が短く、汚れやすいデメリットもあるため、優先したい性能を明確にして施工を行う必要があります。
使用する下地塗料であるフィラーは、微弾性フィラーが一般的で、モルタルやALCにも使用できますが、さらに弾性が高く柔らかい高弾性フィラーもあります。高弾性なフィラーは、高い性能を持ちますが、その分価格も上がるうえ、外壁が高温になると膨らみやすい特徴があるため、取り扱いには確かな知識と技術が必要です。マスチック工法による施工は、全国マスチック事業協同組合が認定するマスチック仕上管理士や、マスチック仕上士といった認定資格制度を持つ施工店に依頼するのが安心です。
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