【要注意】雨漏りはコーキング工事だけでは治らない?
室内に雨漏りが発生したときには、まずは応急処置をして雨漏りを止めることが必要です。
その際に多用されるのが、コーキングによる止水処理です。しかし、コーキングによる止水は一時的には有効ですが、雨漏りの根本的な解決にはなりません。それどころか、余計に悪化させてしまうこともあります。
今回の記事では、雨漏りの原因とコーキングによる雨漏り処理の方法、その問題点について解説します。
雨漏りの際に確認すべき住宅の保証制度についても説明しますので、ぜひご一読ください。
雨漏りの原因
雨漏りが発生する原因箇所は主に次の5つです。
✅屋根
✅外壁
✅屋上防水
✅サッシ周り
✅換気口など設備貫通部
これらの原因箇所の経年劣化によるひび割れや隙間の発生、浸透により裏側に回った雨水が室内に入り込むことによって雨漏りが発生します。
雨水の浸入経路が目視で分かることはほとんどなく、専門技術者であっても雨漏りの原因特定は容易なことではありません。屋根などの高所の確認は危険も伴うため、雨漏りが発生したら専門工事業者に点検と応急処置を依頼しましょう。
コーキングで雨漏りを止める方法
雨漏り修理で良く使用されるのがコーキング(シーリング)による隙間ふさぎです。ここではコーキングを使用する雨漏り修理の手順について説明します。
雨水の浸入経路を特定する
まずは雨水の浸入経路を特定する必要があります。雨が降っているときは外部からの確認は難しく、天井や壁を剥がして内側から確認せざるを得ません。
内装を解体してしまうと修理費用もかさんでしまいますので、一般的には雨が止むのを待ってから放水試験(水掛け試験)を実施します。
これは、原因とおぼしき箇所にピンポイントに外部からホースなどで水を掛け、雨漏りが発生するかをチェックする方法です。
風を伴った横殴りの風雨でないと発生しない雨漏りもありますので、放水の角度や強さをさまざまに変化させながら雨漏りの再現を試みる必要があります。
建物にダメージを与えない程度に水を掛ける加減には一定の建物構造の知識が必要ですので、施主様がご自分で実施するのは避けるのが無難です。専門工事業者の立ち合いのもとで、必要以上に水を掛けないように放水試験を実施するべきです。
コーキングで雨水の浸入箇所をふさぐ
雨漏りの原因箇所が特定できたら、応急処置としてコーキングを使用して浸入経路をふさぐのが一般的です。
コーキングの施工には「増し打ち」と「打ち替え」の2種類があります。
増し打ちは、原因箇所の上に盛るかたちで施工します。打ち替えは、原因箇所が既存のコーキングの隙間やひび割れが原因の場合に実施する方法で、既存のコーキングを除去して再施工することです。
いずれの施工方法でも、当該箇所の汚れをしっかりと清掃してから密着を良くするためにプライマーを塗布してから施工することが重要です。
コーキングの種類
雨漏り修理に使用されるコーキングの種類は、主に次の4つです。
アクリル系コーキング
シリコン系コーキング
ポリウレタン系コーキング
変性シリコン系コーキング
コーキングの種類ごとの特徴や施工時の注意点に関しては、別記事で詳しく解説していますので併せてお読みください。
▷外壁塗装におけるコーキング工事とは?役割と重要性を解説
雨漏りをコーキングで修理する際の注意点
コーキングによる雨漏り修理は、あくまで応急処置と考えるべきです。
外壁のコーキング目地の剥離やひび割れであれば打ち替えで完了しますが、外壁材や屋根材のひび割れや穴開きが原因である場合は部材の交換が必要になります。
施工不良による雨水の浸入の場合は、原因箇所を解体して正しい施工に直さなければなりません。
応急処置のコーキングをそのままにしておくと、さらに重大な雨漏りを引き起こすことさえあります。
コーキングによって今まで雨水の排水経路となっていた箇所がふさがれて内部に雨水が対流するようになったり、微細な隙間から毛細管現象で雨水を吸い上げてしまう場合もあるため、むやみにコーキングによる処置を拡大してしまうのはデメリットの方が多いといえるでしょう。
雨漏りを事前に防ぐ!外部のチェックポイント
雨漏りを防ぐためには、定期的なチェックが欠かせません。
ここでは、部位ごとに目視でチェックできる雨漏りのサインをご紹介します。
外壁・コーキング
✅外壁にひび割れがないか
✅外壁に釘打きや反りがないか
✅外壁の表面にチョーキングが発生していないか
✅コーキングにひび割れがないか
✅コーキングを指で押して弾力性があるか
外壁やコーキングは、長年のうちに紫外線の影響で劣化が進行します。
外壁の撥水性が失われると素材そのものに雨水が浸透してしまいます。外壁そのものがゆがんでしまったり、固定している釘や金具の保持力が落ちると温度変化で沿ってしまいひび割れの原因になります。
コーキングも同様で、弾力性が失われるとひび割れてしまい雨漏りの原因となります。
屋根
✅瓦やスレート屋根に浮きやズレがないか
✅棟瓦が脱落したりや棟板金が浮いていないか
✅金属屋根に錆が出ていないか
屋根の不具合は重大な雨漏りを引き起こします。
特に頂点の「棟」は屋根の最大の弱点ですので、その部分のカバーが外れてしまうと建物内部に容易に雨水が入ってしまいます。
屋根上に上がって点検するのは危険を伴うため、遠目に異常が見受けられたら専門工事業者に詳細な点検を依頼しましょう。
ベランダ防水
✅ベランダ防水に亀裂や浮きがないか
✅排水口が詰まっていないか
近年は集中豪雨の発生件数も増えており、防水の排水トラブルによる雨漏り事例も増えています。排水口は定期的に清掃するようにしましょう。
雨漏り修理の際には建物の保証内容をチェック!
雨漏りの本格的な修理には、場合によっては高額な費用が掛かることもあります。
建設会社の保証や保険が適用できるケースもありますので、事前にチェックしておきましょう。
瑕疵担保責任保険
住宅の場合は、瑕疵担保責任保険への加入が法律で建設会社に義務付けられています。
これは、「構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分」に関して、引き渡してから10年間の保証責任を負わせるものです。
10年での経年劣化による雨漏りは考えにくいため、新築後10年以内の雨漏りは施工不良として新築時の建設会社の責任を追及すべきです。
瑕疵担保保険が切れる10年目には、多くの建設会社が点検を実施しています。その際には屋根の下地材の裏側や室内天井に雨シミ跡が無いかをチェックし、雨漏りの兆候が無いかを入念に点検してもらいましょう。
ハウスメーカーや工務店の保証
建築した建設会社による保証制度と定期点検サービスも積極的に活用しましょう。
建設会社によって内容はまちまちですが、最大60年の保証を売りにするハウスメーカーも存在します。
定期点検のタイミングで将来発生する修繕リフォームの内容と費用相場を確認しておくことで、予算計画も立てられて建物をより長持ちさせることが可能になります。
火災保険の活用
加入している火災保険の中身によっては、雨漏りの修理に掛かった費用に保険が適用できるケースもあります。
風災・雹(ひょう)災・雪災などの自然災害で外壁や屋根が破損した場合などです。
保険を申請する際には、自然災害との因果関係を明らかにしなくてはなりません。その災害が発生した具体的な日時を特定できるように、写真などの証拠を残しておくことが重要です。
屋根や外壁の損傷が経年劣化なのか自然災害によるものなのかは、一般の方が見た目で判断するのは難しい場合もあります。
その場合は専門工事業者に点検を依頼してアドバイスをもらうとよいでしょう。
屋根や外壁の修理と火災保険についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
▷外壁塗装に火災保険はつかえる?申請方法と手続きの流れについて解説
まとめ
今回はコーキングを使用した雨漏り修理について解説しました。コーキングはホームセンター等で容易に入手できますので、ご自身でDIYでやってみようという方もいらっしゃるかと思います。
ただし、本記事で解説した通りコーキングによってさらに雨漏りを悪化させてしまうケースがあることにもご留意ください。雨漏りが発生した場合は、豊富な経験のある専門工事業者に依頼するのがベストです。
大阪府八尾市の池本塗装では、お客様の大切な建物を雨漏りから守るべく、徹底した点検と対策工事を実施することができます。お客様それぞれの事情に合わせた最善の修理提案をすることで、多くのお客様と長くに渡る信頼関係を築き上げています。
雨漏りでお困りの方は、ぜひお気軽にお問合せください。