八尾市の塗装職人、池本塗装が教える知っておきたい屋根修理の豆知識

知っておきたい塗装の豆知識

フッ素塗料ってどんな塗料?特徴やメリット・デメリットを解説

今回の記事では、近年の外壁塗装に限らず橋桁や高速道路などの塗装にもよく使用されているフッ素塗料について詳しく紹介します。

フッ素塗料は耐久性が高く、特に外壁塗装において多くのメリットを提供する優れた選択肢ですが、塗料が高額である点や環境への影響も考慮しなければならないといったデメリットもあります。

この記事では、フッ素塗料の基本的な特性、その用途、メリットとデメリットについて詳しく解説していきます。塗装材料を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。

フッ素塗料とは?基本的な特性を知る

フッ素塗料はその耐久性の高さから、開発当初から高速道路や電車桁といった、大規模な鋼構造物の建築物の塗装に用いられていました。しかし、近年ではマンションや戸建ての建設業界においても、段々とフッ素塗料が取り入れられるようになってきているのが現状です。では、このフッ素塗料とは一体何なのでしょうか。

何でできているの?フッ素塗料の成分

フッ素塗料は、主にフッ素樹脂を基にした塗料です。フッ素塗料は、耐候性、耐薬品性、非粘着性など多くの優れた特性を持っていますが、一体何でできているのでしょうか?この塗料の核心は「フルオロポリマー」です。この高分子化合物は、フッ素原子が多数含まれており、その結果、塗料は化学的に安定し、強固なフィルムを形成します。

特に、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの種類がよく用いられます。PVDFは外壁や屋根材料に使われることが多く、高い耐候性を誇ります。一方で、PTFEは非粘着性が強く、フライパンのコーティングやケーブルの絶縁体に使われることが多いです。

さらに、これらのフルオロポリマーには、通常、顔料、溶剤、硬化剤などが加えられます。顔料は色付けや防錆効果をもたらし、溶剤は塗料用シンナーを用いて、塗料を適切な粘度に保ちます。塗料の粘度が決まると、硬化剤を加えて撹拌し、一定の時間内に塗装を完了させて塗料の効果を待ちます。

このように、フッ素塗料は複数の成分を撹拌・調合しています。それぞれの成分が適切に反応して、塗料全体としての高性能を発揮するのです。

フッ素塗料の歴史:なぜ開発されたのか

フッ素塗料は、単なる美観を高める手段以上のものとして登場しました。もともと1950年代に登場したこの革新的な塗料は、極端な耐候性と化学的安定性を兼ね備えています。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やエチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)といったフッ素樹脂の突出した特性を基に、工業界や建築界で長期間にわたる耐久性と低メンテナンスが求められるケースに絶大な影響を与えました

開発の背景には、特に航空機や化学プラントなどの極端な環境下での使用が考慮されていました。耐腐食性と耐熱性が必須であり、また紫外線による劣化が許されない状態において、フッ素塗料はその多機能性で注目されるようになりました。

近年では、その用途は屋外広告から高層ビル、さらには自動車産業にまで拡大しています。この優れた塗料がどれほど多面的かを理解することで、その真の価値と革新性が明らかになるでしょう。

市場での位置:他の塗料との比較

フッ素塗料は、フッ素成分が入っていない塗料に比べて価格が高めですが、その分、長期的なメンテナンスコストを削減できる可能性があります。シリコン塗料やアクリル塗料と比較しても、フッ素塗料は耐久年数が長く紫外線による色あせや劣化が少ないとされています。

フッ素塗料の主な用途

家庭での使用

一般的な住宅においても、フッ素塗料は非常に有用です。特に、日本の四季に影響する厳しい気象条件、例えば梅雨や高温多湿、冬季の寒さにも耐えうる塗料として注目されています。長寿命であり、10年以上の耐用年数が期待できる場合が多いです。

商業・産業施設での活用

フッ素塗料は商業ビルや工場、倉庫などの産業施設でもよく用いられます。これらの建物においては、美観を維持しつつ、長期間のメンテナンスフリーが求められることが多いからです。フッ素塗料はその双方の要求に応えられるため、多くの施設で選ばれています。

特殊な条件下での適性

海辺や高温・多湿、酸性雨などの特殊な環境下でも、フッ素塗料はその性能を維持します。例えば、海辺の建物には塩分による腐食が心配されますが、フッ素塗料はそのような厳しい条件でも耐久性を保つことが証明されています。

フッ素塗料のメリット

フッ素塗料が多くの人々に選ばれているのには、いくつかの明確な理由があります。その中でも特に注目すべきは、その高い耐久性です。

耐久性が高い理由

フッ素塗料は建築界や産業用途で広く使用されていますが、その人気の裏には耐久性の高さがあります。この高度な耐久性は、フッ素樹脂の化学的安定性に由来します。フッ素原子は強固な結合を形成し、UV線や大気中の塩素、硫黄といった外部要因からの劣化を最小限に抑えます。

また、低表面エネルギーにより、塗料は水や油、汚れに対して非常に高い耐性を持つため、外観が長期間美しいまま保たれます。このようにして、フッ素塗料は長寿命であり、初期費用が高くても長期的に見れば極めて経済的な選択といえます。

色あせに強い

多くの塗料は紫外線によって劣化し、色あせることがあります。しかし、フッ素塗料は紫外線に対する耐性も高く、長期間美しい外観を維持することができます。これは、商業施設や高級住宅でよく用いられる理由の一つです。

特に外壁などは、紫外線の暴露により劣化が進むと、塗料の艶がなくなったり塗膜が粉状になる(チョーキング)が現れます。フッ素塗料はこのような劣化が、安価な塗料に比べて起こりにくいといわれています。

▷外壁の「チョーキング現象」とは?原因と対処法を解説

コストパフォーマンス

フッ素塗料は長期間にわたる耐久性と低メンテナンスが魅力です。一般的なアクリル塗料やウレタン塗料と比べて初期コストは高めですが、そのパフォーマンスと寿命を考慮すると経済的に非常に優れています。

この塗料は化学的に安定し、紫外線や酸性雨、塩分に対する抵抗力があります。結果として、塗り替え周期が長く、長期的なランニングコストが削減されます。特に商業施設や高層建築物においては、メンテナンス費用が大幅に削減されるため、総所有コスト(TCO: Total Cost of Ownership)が低く抑えられます。

加えて、フッ素塗料は表面エネルギーが低く、汚れが付きにくいため、クリーニングコストも抑制できます。これにより、持続的な美観を確保しながら運用コストを最小限に抑えることが可能です。

フッ素塗料のデメリット

フッ素塗料が多くのメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットも無視できない点です。特に初期費用と環境への影響については、注意が必要です。

初期費用が高い

フッ素塗料の一番のデメリットと言えるのが、その初期費用の高さです。特に高品質なフッ素塗料は、アクリル塗料やウレタン塗料と比べても明らかに価格が高いことから、工事の際にはコスト面で安価な塗料を選ぶケースもあります。しかし、長期的なメンテナンスコストを考慮すれば、この初期費用も相対的には許容範囲内とも言えます。

環境への影響

フッ素塗料は、様々な産業で使用される塗装において、その高い耐久性と耐候性により注目されていますが、環境への影響も無視できない課題です。主成分の一つであるフッ素化合物は、製造過程で高エネルギーを必要とし、その結果として二酸化炭素の排出が増加する可能性があります。さらに、塗料の塗布や乾燥過程で揮発性有機化合物(VOC)が放出されるケースもあり、これが大気質の悪化を引き起こす可能性があります。

また、塗料が劣化した場合や塗り替え作業での除去が必要な際、廃棄物として取り扱われる必要があります。このような廃棄物は適切な処理が行われないと土壌や水質に悪影響を及ぼす可能性があります。総合的に見て、フッ素塗料の使用は環境への影響を最小限に抑えるための配慮と管理が不可欠です。選択肢としては、低VOCの製品の使用や、循環型社会に適した塗料の開発と使用が考えられます。

性能を活かすために技術が必要

フッ素塗料は化学的耐久性と耐候性に優れ、長期にわたるパフォーマンスを提供しますが、その効果を最大限に引き出すためには適切な塗装技術も不可欠です。まず、基材の表面処理は欠かせません。錆や旧塗膜、汚れを徹底的に除去し、プライマーで適切に下地処理を行うことが施工業者に求められます。

そして、塗料の調合も重要です。フッ素塗料は通常、二液型であり、A液とB液を正確な比率で混合する必要があり、噴霧圧力、ノズル径、塗布速度、塗装時の気候条件なども厳密にコントロールする必要があります。特に、噴霧パターンと重なり具合は均一な塗膜厚を実現するために調整が必要であり、塗装する職人のスキルによりばらつきが発生しやすい部分でもあります。

まとめ

フッ素塗料には確かなメリットが多数ありますが、一方で無視できないデメリットも存在します。それでは最後に、フッ素塗料を選ぶべきか、それとも選ばないべきかについて総括しましょう。

耐久性が重視される場合

耐久性が最も重要な要素とされる場合、フッ素塗料は非常に優れた選択肢となります。特に日本のような厳しい気象条件下でも、高い性能を維持する点は大きな利点であり、様々な分野でフッ素塗料が主流になってきている最大の要因といえます。

初期費用が許容できる場合

初期費用が高いというデメリットはありますが、その後のメンテナンスコストが低いため、長期的にはコストパフォーマンスが高いと言えます。初期費用が許容範囲内であれば、フッ素塗料の塗装を検討することが望ましいです。

環境への影響を最小限にしたい場合

環境保護が主な目的であれば、フッ素塗料は最適な選択ではないかもしれません。機能に優れる反面、人体や環境に影響のある成分も含まれており、どうしても気になるという方は、水性塗料などのエコフレンドリーな塗料を選ぶことも一つの選択です。

今回の記事では外壁塗装におけるフッ素塗料とはどういったモノなのかをメリット・デメリットを交えて紹介しました。

池本塗装では、その他の外壁塗装工事における様々な疑問・お悩みに対応します。

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この記事は私が監修しました

池本塗装代表:池本 竜也

池本塗装代表:池本 竜也

塗装職人歴15年、1級塗装技能士・2級施工管理技士取得。一級技能検定にて優秀賞受賞、塗装技能大会にて大阪府知事賞、大阪代表の塗装職人として全国大会出場など。安心した塗装をご提供できるように日々技術を磨いています。

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