八尾市の塗装職人、池本塗装が教える知っておきたい屋根修理の豆知識

知っておきたい塗装の豆知識

塗装が必要な瓦「モニエル瓦」とは?メンテナンス方法について

住宅屋根にはスレートや金属など、さまざまな素材の屋根材があります。「モニエル瓦」も数多くある屋根材の一つですが、「瓦」と言っても昔ながらの日本家屋に多く使用されてきた粘土瓦とは大きく異なります。この記事では、モニエル瓦のメリット・デメリット、劣化症状やメンテナンス方法について詳しく解説します。お住まいの住宅にモニエル瓦が使用されている方や、モニエル瓦について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

モニエル瓦とは?

八尾市にて屋根塗装

モニエル瓦とは、主成分のセメントに砂利を混ぜて作られた、ヨーロッパ発祥の乾式コンクリート瓦の一種です。ラファージュ・ルーフィング株式会社(旧・日本モニエル株式会社)によって製造・販売され、1970年代から1980年代にかけて広く普及しました。瓦の形状やカラーが豊富で、塗装のグレードによって複数のラインナップがありましたが、2010年に製造・販売元が日本市場から撤退したことで、現在では入手できない屋根材になってしまいました。モニエル瓦は、真空ドレン機を用いた押し出し成型によって製造されているため、製造コストがかからず、二酸化炭素の発生を最小限に留めることができ、アスベストも使用していないことから、環境に配慮したエコな屋根材でもあります。

モニエル瓦のメリット

モニエル瓦のメリットは次の通りです。

✅デザイン性が高い
✅カラーバリエーションが豊富
✅防音性・断熱性が高い

デザイン性が高い

モニエル瓦を含む西洋風のデザインを持つ瓦を、洋風瓦と呼ぶ場合もあります。古くからの日本家屋に馴染み深い和瓦は、緩やかなカーブを描く形をしていますが、西洋瓦はより丸みを帯びていて凹凸が大きい特徴があります。和瓦は重厚感があり、どっしりとした落ち着いた印象を与えますが、洋風瓦は立体的で個性的な印象になります。モニエル瓦ではありませんが、現在では国内メーカーが製造した洋風瓦も販売されてるため、屋根のデザインにこだわりたい方におすすめです。

カラーバリエーションが豊富

モニエル瓦は、カラーバリエーションが豊富であることも特徴の一つです。和瓦は、銀に近い灰色や黒色が一般的ですが、モニエル瓦はオレンジや茶色、グリーンなどさまざまなカラーがあり、二色以上の瓦を交互に配置し、チェック柄のように屋根を彩ることもできるため、住宅を明るい雰囲気や柔らかい印象にする効果があります。モニエル瓦の着色は、成型時の表面に着色スラリーと呼ばれるセメントの着色材を厚く塗り、上からアクリル樹脂系のクリアーを重ねるといった特殊な製法が用いられています。

防音性・断熱性が高い

モニエル瓦は、防音性・断熱性が高いといったメリットがあります。コンクリート瓦の一種であるモニエル瓦は、瓦自体にある程度の厚みがあるため、屋根に落ちた雨音が響きにくく、太陽からの日射熱を屋根裏に伝えにくい特徴があります。

モニエル瓦のデメリット

モニエル瓦のデメリットは次の通りです。

✅およそ10年間隔での塗装が必要
✅現在は販売されていない

およそ10年間隔での塗装が必要

モニエル瓦は、およそ10年ほどで再塗装が必要になります。住宅の環境にもよりますが、新築から10年ほど経過すると、瓦表面を保護する塗装膜が落ちてくるため、雨などの水分から瓦を守る働きが弱まります。塗装膜による防水・撥水効果が失われると、瓦が水分を吸収してしまうため、劣化が加速度的に進み、強度が低下してしまいます。長くとも新築から15年以内には、屋根の再塗装によるメンテナンスを行うようにしましょう。

現在は販売されていない

前述のとおり、製造・販売メーカーの撤退により、現在では購入できないことが最大のデメリットです。メーカーが撤退した後、在庫として残っていたモニエル瓦は、その後に発生した東日本大震災により、保管していた倉庫が被災し、ほとんどが落下・破損してしまいました。そのため、現在お住いの住宅屋根にモニエル瓦が使用されていた場合には、破損してしまうと部分差し替えなどが出来ないため注意が必要です。

モニエル瓦の主な劣化症状

八尾市にて屋根塗装(モニエル瓦)

モニエル瓦の主な劣化症状は次の通りです。

✅色褪せ
✅塗膜の剥がれ
✅藻や苔の繁殖
✅瓦のひび割れ

色褪せ

経年により、紫外線や風雨などの影響で色褪せが起こります。劣化の初期症状で、表面の塗装による保護膜(スラリー層)が弱まってきている証拠でもあります。屋根の色褪せが起きているようであれば、専門業者による点検をおすすめします。

塗膜の剥がれ

色褪せが起こり、瓦の表面の光沢が失われているようであれば、塗装膜が剥がれ落ちている可能性があります。モニエル瓦の塗装膜が剥がれると、雨水などの水分から瓦を守れなくなってしまうため、劣化が早いスピードで進行します。瓦が一度劣化してしまうと回復させることができないため、塗膜の剥がれに気が付いたら早急に屋根の塗り替えをする必要があります。

藻や苔の繁殖

瓦の塗膜が剥がれると、表面がざらざらになり、水分を含みやすくなります。そのため、飛んできた藻や苔の胞子が屋根に留まりやすくなり、繁殖してしまうことがあります。藻や苔は、日当たりの悪い屋根の北面で発生しやすい特徴があり、徐々に周りへと繁殖し広がっていきます。藻や苔が屋根に生えると、屋根に落ちた水分がさらに留まりやすくなってしまい、悪循環に陥ります。屋根が黄色や緑色に変色しているのであれば、藻や苔が繁殖している可能性が高いため、早めの塗り替えを検討しましょう。

瓦のひび割れ

ひび割れは、塗膜による防水機能を失った瓦が、水分を吸収・乾燥することで膨張と収縮を繰りして発生します。また、雨などで瓦の内部に染み込んだ水分が、瓦のコンクリート質と共に流れ出るため、瓦の強度が低下することも原因の一つです。瓦のひび割れを放置すると、ひび割れた箇所から瓦の下にある防水シートに雨水が流れ、雨漏りの原因になるケースもあります。軽度のひびは、防水テープやシーリング、接着パテなどで補修できますが、完全に割れていたり、ボロボロと崩れてしまうようであれば取り替える必要があります。

モニエル瓦のメンテナンス方法

八尾市にて塗装工事施工前

モニエル瓦のメンテナンス方法には、再塗装と葺き替えの二つがあります。

再塗装

モニエル瓦は10年ほどで塗装によるメンテナンスが必要ですが、モニエル瓦ならではの注意点があります。一つ目は、表面の着色層であるスラリー層を完全に除去する必要がある事です。スラリー層を完全に除去しないまま上から塗装をしてしまうと、1年や2年といった短期間で塗装が剥げてきてしまいます。これは、残った古いスラリー層によって、新しい塗装がうまく密着できなかったために起こる現象です。古いスラリー層は、高圧洗浄などで徹底的に除去する必要があります。

二つ目は、モニエル瓦に適した塗料を選ぶことです。下塗りや上塗りに使用する塗料は、モニエル瓦専用もしくはモニエル瓦にも使用できる塗料でなければなりません。きちんとした知識や経験がある専門業者であれば、瓦の特性を理解しているはずですが、モニエル瓦だということを事前に伝えておいても良いでしょう。

葺き替え

葺き替えは、古い屋根瓦をすべて取り除き、新しい屋根材に交換する工事です。現在、モニエル瓦を使用している住宅で、新築から30年以上経過している場合には、再塗装によるメンテナンスよりも葺き替え工事がおすすめです。モニエル瓦は現在販売されていないため、スレートや金属屋根などの屋根材による葺き替えになります。金属屋根など、モニエル瓦よりも軽量な屋根材を選択することで、住宅の耐震性を向上させることにも繋がります。

まとめ

この記事では、モニエル瓦のメリット・デメリット、劣化症状やメンテナンス方法について詳しく解説しました。デザイン性やカラーバリエーションが豊富なモニエル瓦ですが、現在では販売されておらず、瓦の再塗装にはスラリー層の除去が不可欠です。モニエル瓦は他のセメント瓦に似ていますが、再塗装に必要な工程が異なるため、注意が必要です。劣化が進行してしまったモニエル瓦は、雨漏りを引き起こす可能性があるため、再塗装よりも葺き替え工事がおすすめです。メンテナンスは、確かな知識と経験を持つ専門業者に依頼することが、住宅屋根を健康な状態に保つ大切なポイントです。

池本塗装は、大阪八尾市に拠点を構える職人直営の塗装専門店です。下請けなどを介さず、最初から最後まで自社で責任を持った塗装工事を行います。お住まいの住宅に使用されている屋根がどのような素材かわからない場合には、一度点検を依頼することをおすすめします。ぜひお気軽に池本塗装にお問い合わせください。

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この記事は私が監修しました

池本塗装代表:池本 竜也

池本塗装代表:池本 竜也

塗装職人歴15年、1級塗装技能士・2級施工管理技士取得。一級技能検定にて優秀賞受賞、塗装技能大会にて大阪府知事賞、大阪代表の塗装職人として全国大会出場など。安心した塗装をご提供できるように日々技術を磨いています。

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